第8章 scene2:ハートのバスタブ
カーテンを元に戻し、お気に入りのフワモコブランケットを肩から羽織った僕は、再度長瀬さんにリュックを預けると、撮ったばかりの映像をPCで確認する国分監督さんの肩を、チョンとつついた。
「お、HIMEちゃん、お疲れ様だったね」
「はい、今日はありがとうございましたぁ♪」
「すっごく可愛く撮れてるから、完成楽しみにしといてね」
「はい♪」
僕は国分監督さんに頭をペコリと下げると、今度はまだNINOとごしょごしょ中のカメラマンさんに駆け寄り、国分監督さんにするのと同じように頭を下げた。
そしてNINOにも…
「んと…、今日はとっても楽しかったです」
僕が言うと、NINOは自分のスマホを僕に差し出した。
「とても可愛く撮れてると思わない?」
それは、ついさっき撮ったばかりの、僕達の写真で…
「うわぁ、うん! すっごく可愛い♡」
え、でもこれ、どうして…?
「でしょ? 早速送って貰ったのよ?」
へ、へぇ…、そんなことが出来るのか…
凄いなぁ、最近は…
「あ、そうだわ! HIMEちゃん、スマホ貸して?」
「え? あ、うん…」
僕は長瀬さんに預けたリュックから、“HIME専用スマホ”を取り出すと、NINOに手渡した。
NINOは僕のスマホを受け取ると、二台のスマホを器用に操作し始めた。
暫くすると、僕のスマホがピコンと鳴って…
「出来たわ。あ、ついでに私の連絡先も追加しておいたから。いつでも連絡して?」
スマホが僕の手に戻って来た。
「は、はい…。あ、あの…、さっき送って貰った写真、待ち受けにしても…?」
自分の写真待ち受けにするとか、本当は恥ずかしくて出来ないけど、すっごく可愛く撮れてたし…
それに、メインで使ってるわけでもないしね?