第7章 scene2:ピンクのお部屋
溜まっていた熱を全て吐き出し、NINOが脱力したように息を吐き出すと、僕の横に身体を投げ出す。
まだ息を荒くする僕の顔を両手で包み込むから、僕もそれに応えるようにNINOの顔を両手で包み、お互いのおでこをコッツンと合わせて、啄むようなキスを繰り返した。
その時…
「はーい、カーット」
国分監督の声がピンク色に染まりきった部屋に響いた。
あ、そっか…
僕、途中からカメラが回ってることなんて、すっかり忘れてたよ…
「お疲れ、お疲れ〜♪ 二人共良かったよ〜」
放心する僕に、スタッフさんから受け取ったバスローブを差し出しながら、国分監督がウンウンと頷く。
「くく、お疲れ様でした」
受け取ったバスローブを肩にかけ、NINOが笑顔を見せる。
僕はと言えば…
「HIME…ちゃん? 大丈…夫…?」
ティッシュで僕の顔を拭きながら、NINOが心配そうに僕の顔を見下ろす。
「んと…、あの…、大丈夫…です…」
流石に、カメラの存在を忘れる程夢中になってた、とは言えなくて咄嗟に誤魔化した。
「HIMEちゃん、よかったわよ? 私、久しぶりに、本当は自分が“男なんだ”ってこと思い出しちゃったもの」
「そんなに…? そんなにHIMEの中、気持ち良かった?」
「ええ、とっても♪ ヤミツキになっちゃいそうよ(笑)」
ふふ、憧れのNINOにそう言って貰えるなんて…、僕嬉しくてスキップしたい気分だよ♪
「それにね?」
NINOが僕の耳元に唇を寄せる。
「あのね、実はね…、国分監督ね…」
「え、えぇっ…、嘘(笑)」
「本当よ(笑) その証拠に、ほら…」
「わ、ホントだぁ(笑)」
「ね?」
二人して国分監督を見てはニヤニヤしていると、さっきまで大きなカメラを担いでいたカメラマンが、今度は小さなカメラを持ち替え、レンズを僕達に向けた。
『ピンクのお部屋』ー完ー