第35章 scene37:僕達のParty Starters!
翔くんの大学の卒業式も無事終わり、いよいよ翔くんの社会人一年生として生活が始まろうとしていた。
僕の部屋の壁には、入社式のために一緒に選んだスーツがかけられていて、スーツに合わせて選んだシャツもスーツの隣にかけられている。
でも何かが足りない。
そう…ネクタイだけは、どうしても入社式当日にプレゼントしたくて、実はまだ隠したままなんだ。
それもキッチンの吊り戸棚の奥に(笑)
だって、翔くんがキッチンに立つことは滅多にないし、他の場所だと見つかっちゃうかもだからさ(笑)
「いよいよだね?」
「うん、あっという間だったかな…」
「ねぇ、緊張…する?」
「そりゃするでしょ(笑)」
そっか…、そうだよね(笑)
いくら翔くんでも、これまでの生活とガラッと変わるし、当然全てが初めて尽くしになるんだもんね?
緊張しないわけないか…
「あ、そう言えばさ、僕バイト決めて来たんだ」
「え、マジで? どこ? どんな仕事? いつから?」
矢継ぎ早な質問は、心配性な翔くんだから仕方ない。
「んとね、実はね、つい先週だったかな…バッタリ会って…、レンタルショップの店長さんに…」
それもまさかスーパーで会うなんてさ、お互いビックリだったんだけどね(笑)
「そしたら、先週バイトの子が二人辞めちゃったらしくて、困ってるらしくてさ…」
時期的なのもあるから、しょうがないとは店長さんも言ってたけど…
「それでね、もし暇ならまた働かないかって、言われて…」
店長さん曰く、新しくバイト入れるより、僕なら経験もあるし、教える手間が省けるから…だそうだけど。
「それで?」
「丁度僕もバイト始めようと思ってたし、丁度良いかなって思って…」
本当は翔くんに相談してからって思ったけど、やっぱり自分のことだし、自分でちゃんと決めなきゃって思って…
「決めた…の?」
「うん…」
「そっか…」
え、翔くん…、もしかして怒ってる?
え、相談しなかったから?