第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
僕は紙袋から中の物を取り出すと、それを目の前に広げた。
瞬間、外の景色はもう夜になろうとしているのに、僕達の前に太陽でもあるかのような…、眩し過ぎる光に、僕達は同時に目を背けた。
「前に友達に貰ったんだけど、もう着ないし…、でも捨てるのも忍びないし、そんな物で良ければお前にやるよ」
やるよ、って言われても、こんなミラーボールみたいな服、僕着たことないし、着ようと思ったこともないんだけど…?
「ね、ねぇ、潤兄ぃはこれ着たことは…」
翔くんが恐る恐る聞いてみると、
「何度かあるけど?」
松本さん平然とした口調で答えた。
ってゆーか、こんなキラキラした服を着て、どこにお出かけするんだろう…
僕みたいな、どこにでもいるような平凡な人間には、とても理解出来ないや(笑)
僕はミラーボールみたいにキラキラのジャケットを丁寧に畳むと、元あったように紙袋の中に仕舞い、松本さんに返した。
「いいのか?」
「うん、僕このままで良いや…」
どんなにヨレヨレでも、ミラーボールみたいな服を着るよりは、よっぽどマシだもん(笑)
「それに、誰から貰ったかは分かんないけどきっと松本さんのことを思ってプレゼントしてくれた物だと思うし…」
そんな大事な物を、僕なんかが貰えないよ。
「分かった。まあ、お前はそのままの方が良いかもな? 翔もそう思うだろ?」
「うん。変に畏まった智くんより、何も飾らない素のままの智くんが、俺は好きだから…」
そんなぁ〜、もぉ…“好き”とかさ、照れるじゃん♡
…って、照れてる場合じゃないか(笑)
でも、ちょっとだけ勇気出たかも♪
「あ、じゃあさ、途中でケーキ屋さん寄ってよ」
手ぶらじゃなんだし、手土産くらいは必要じゃない?
それに、ギョーザたくさん食べたせいか、凄く甘い物が欲しくなっちゃったんだよね…
ふふ、なんたって僕、スイーツ男子だからさ♪