第33章 scene6:君だけのHIME…にして?
フーッと息を吐き出して、僕を抱っこしたまま翔くんがベッドに倒れ込む。
脱力しているせいか、ちょっぴり重い…
「しょ…く…、苦しい…よ…?」
背中を叩いて僕が訴えるけど、翔くんはピクリとも動かなくて…
え、ちょっと?
まさか…、嘘でしょ?
「ね、翔くん…、ヤダよ…、ね、起きてよぉ…」
イッたばかりで、あんまり力なんて出ないけど、僕は必死で翔くんの背中を叩いた。
そしたら…
「痛い痛い…」って…
翔くんが息を吹き返した。←いや、それ違わないか?(笑)
「翔くん…?」
「ごめんごめん、あんまり気持ちよ過ぎてさ、ちょっと浸ってたっつーか…」
え、そーなの?
「良かったぁ…。僕、てっきり腹上死でもしちゃったのかと思ったよ…」
余計な心配しちゃったみたい。
「ぷっ、腹上死って(笑) 凄いこと知ってるんだね(笑)」
だって…
良く聞くってわけでもないけどさ、気持ち良過ぎてイッた拍子に心臓発作起こして、そのまま…なんてことだってあるじゃん?
だから翔くんも…、って思っちゃったんだもん。
「まあ…、智くんの上で死ねるなら、俺としてはある意味本望だけどね?(笑)」
翔くんは冗談ぽく笑って言うけど、僕は嫌だよ。
翔くんが死ぬなら、僕だって一緒に死ぬもん。
翔くんと、いーっぱい気持ちイイことして、翔くんと一つになったままなら…、僕はその方が良い。
そしたらさ、翔くんとずっと一緒にいられるもん。
「ただ…さ、死ぬにはまだちょっと早いかな…」
どゆ…意味?
僕が首を傾げると、翔くんはまたプッと吹き出してから、僕を抱っこしたまま仰向けになった。
「だって考えてもみてよ…。俺達やっと付き合い始めたばっかでしょ?」
うん、確かにそうかも。
知り合ってからは…それなりに時間は重ねて来たけど、その時はまだ“友達”だったし、“恋人”って呼べるようになったのは、まだつい最近のことだから…