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H・I・M・E ーactressー【気象系BL】

第32章 scene6:僕はHIME…


どれくらいの時間車に揺られていたのか…

「どうやら目的地に着いたみたいよ?」

斗子さんに軽く肩を揺すられて僕は瞼を持ち上げた。

でも、視界はまだ薄暗いままで…

「ここ…、どこ…?」

寝ぼけている僕は、メイクのこともすーっかり忘れて瞼を擦ろうとして、斗子さんに止められた。

そして、運転席と後部座席を仕切ったボードを軽く叩くと、

「ねぇ、智也? いい加減ここがどこなのか、何のためにこんなことをしているのか教えてくれない?」

斗子さんにしては珍しく気弱な声を上げる…けど、それはどうやら演技だったみたいで(笑)

「とっと言わねぇと…」

今まで聞いたこともないようなドスの効いた声で言って、ヒールを履いた足で助手席のシートをドンッっと…、車が揺れるくらいの力で蹴った。

それには流石の長瀬さんも動揺したのか、

「い、今開けるから待ってろ…」

慌てた様子でシートベルトを外す音が聞こえて、ドアが開いたのが分かった。

ってゆーか…斗子さん、怖いよ?

いつもなら自動で開くドアが手動で開けられ、薄暗かった車内に、光が射し込んでくる。

僕はその眩しさに、ちょっぴり目を細めつつも、先に降りた斗子さんの手を借りて車の外へと出た。

「ここ…は…?」

見た感じ森(?)のようにも見えるんだけど、ちょっとした門みたいなのもあって、その奥にはコテージ(?)のような建物も見える。

こんな場所で一体何を?
それに翔くんは?

僕がキョロキョロとしていると、コテージのドアがゆっくり開いて、オレンジに近い黄色のタイトなドレスを纏ったNINOが、黒髪を揺らしながら僕に駆け寄って来た。

「NI…NO…? どうして…?」

「くくく、話は後。こっちよ、着いて来て?」

「え、で、でも…」

僕は咄嗟に斗子さんを振り返ったけど、斗子さんは長瀬さんとお話中で…

仕方なく、僕は手を引かれるまま、NINOの後を追った。
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