第32章 scene6:僕はHIME…
結局、斗子さんの手を借りて漸く服を脱いだ僕は、やっぱり斗子さんの手を借りて、真っ白なブラジャーを着け、パンティの上からフリルたっぷりのペチコートを履いた。
僕が用意して来たストッキングは、斗子さんと相談の結果、見事に却下された。
斗子さん曰く、
「前の部分がミニ丈になってるから、ニーハイタイプの物より、パンティストッキングの方が、足元がスッキリ見えて可愛いわよ」
なんだって。
僕はそーゆーことにはまるで疎いから、当然斗子さんに全部お任せ♪
「後ろ、裾が長くなってるから、踏まないように気を付けてね?」
「はい…」
僕は斗子さんの肩を借りてドレスに足を通すと、そのまま襟元を持ち上げた。
本当ならスタッフさん達がお手伝いしてくれるんだろうけど、仕方ないよね…僕は“男の娘”だけど、“男の子”だから…
「ファスナー上げるわね?」
「はい」
僕は髪を軽く片方に寄せると、普段は猫背気味の背中をピンと伸ばした。
ジッ…と、小さな音を立ててファスナーがゆっくり上げられて行くと、身体がキュッと締め付けられるような気がするけど、思った程窮屈でもない。
3キロも太っちゃったから、ちょっと心配だったの(笑)
「どう、苦しくない?」
「うん、大丈夫♪」
「そ、良かったわ(笑)」
斗子さんがクスクスと笑いながら、ウエストのリボンを後ろで結ぶ。
そして、
「よし…と、これで良いわ。後はこれね…」
膝立ちになっていたのを、スっと立ち上がると、青いリボンで飾られた白い箱を僕に差し出した。
「これ…は?」
「私からのプレゼントよ? 開けてみて?」
「うん…」
お誕生日でもないのにプレゼントって何だろう…って、ちょっぴり首を傾げつつも、僕は青いリボンを解き、箱の蓋をゆっくり開けた。
「え…、これって…」
ヤバいよ…、こんなのまた泣いちゃうじゃん…