第32章 scene6:僕はHIME…
いつもよりも早い時間に起きた僕は、まだ覚め切らない頭のままシャワーを浴びた。
丁寧に髭を剃り、すっかり放置してしまっていた脇と脛の毛も剃り、最後に鏡で全身を細かにチェックしてから、バスタオルで水分を拭き取った身体にボディークリームを塗った。
甘いフルーツのような香りで、ちょっぴりラメの入った、僕のお気に入りのボディークリームだ。
僕はクリームを塗って、ライトに照らされて細かな光を放つ腕をそっと鼻先に近付けると、熟した苺の匂いにも似た甘い香りをクンと嗅いだ。
「うん、やっぱり良い匂い♡」
不思議だね、匂い一つで僕の中のスイッチが、”智”から”HIME”に変わる気がするんだから。
あ、でもゆっくりしてる暇はないんだっけ…
なんたって、超せっかちな“あの人”がお迎えに来てくれるって言うからさ、そうのんびりもしてられない。
僕は鏡に向かったまま、この日のために用意した真っ白なパンティを穿いた。
布面積は割と広めだけど、僕が大好きなレースがたっぶりで、とっても可愛いの♡
それにフィット感も抜群で、ボクサーパンツだと落ち着きなくしていた息子くんも、居心地が良さそうだ♪
「後は…、えっと…」
ブラジャーは斗子さんのサロンに行ってから着ければ良いから…
僕はパンティの上からデニムのハーフパンツを履くと、ダンガリーシャツの袖に手を通した。
本当はね、Tシャツとかのが楽なんだけど、頭から被るタイプのだと、お着替えした時にメイクやヘアが崩れてしまうからね…
だからボタンは面倒くさいけど、そこはちょっと我慢なの。
「良し、これで良いかな…」
僕は洗面所を出ると、そのまま玄関に向い、用意さてあったリュックを開けた。
「ブラも入ってるし、ストッキングも入ってるし、後は…お気に入りの水色のワンピースも入れたし…」
うん、完璧かも♪