第30章 日常15:こんなの初めて♡

頭の芯まで溶かしてしまうような熱くて深くて、そんでもって甘いキスを交わして、翔さんが僕の髪を指の先で梳く。

ふふ、知ってた？
僕ね、髪を撫でられるの、本当はそんなに好きじゃないんだよ？

でもね、翔くんだけは別。
翔くんに髪を撫でられるとね、擽ったいんだけど、でも凄く落ち着くの。

きっと翔くんは知らなかったよね？

だって誰にも言ったことないし、この先だって言うつもりないし…

勿論翔くんにだってね？

僕だけの密かな楽しみにしておきたいから♪

｢何か…、夢でも見てるみたいだ…」

｢どうして？｣

僕が首を傾げると、翔くんは僕の片手で僕の頬を包み、その手を首筋へと滑らせた。

｢ん…」

そして滑らせた手を追うように、今度はキスを落として行く。

｢本当に俺だけの智くんになってくれるん…だよね？」

｢当たり前でしょ？　僕は翔くんだけのものだよ？」

ずっと、ずーっと前から、僕の心は翔くんでいっぱいだった。

だから今度は、僕の身体を翔くんでいっぱいにして欲しい。

｢ねぇ、前言撤回しても良い？」

え？

｢大事にするって言ったけどさ、やっぱ自信ないかも…」

｢んと…、どうゆう意味…？」

あ、もしかしてあんまり考えたくはないけど、やっぱり無理とか…？

もしそうなら、ここで終わりにした方が良い。
このままもっと先へ進んでしまったら、引き返せなくなっちゃうよ？

｢なんつーかさ…、頭では優しくしたいって思ってるのに、身体は真逆っつーかさ…」

え…？
ねぇ、それ…って？

｢それに俺、あんま慣れてないからさ、すげぇ下手くそかもしんないけど、それでも良い…かな…？｣

｢ふふ、気にしないで？ 僕は翔くんに抱いて貰えたら、それだけで幸せなんだから｣

ってゆーか、そんなこと考えてたの？

下手くそとかさ、僕が思うわけないのにね？(笑)

もぉ、翔くんたら可愛いんだから♡