第27章 日常1２:僕、さよなら…、だよ

え、何…？

僕が首を傾げると、

｢猫舌なんだろ？ フーフーしてやろうか？｣

松本さんがニヤリと笑った。

ってゆーか、フーフーって…、僕そこまでお子ちゃまじゃないし…

｢だ、大丈夫…です。自分で出来ますから…｣

それに、お誕生日当日なのに、引っ越しのお手伝いさせて、その上フーフーまでして貰っちゃったら、流石に申し訳ないもん。

僕は舌を火傷しないよう、しっかりフーフーしてから、漸くラーメンを口にした。

｢あ、おいちぃ…｣

｢く、くくく、おいちぃ…って…、くくく(笑)｣

いつもクールな松本さんが、声を上げて笑う。

もう…、そんなに笑わなくても良いのに…

｢いやぁ…、久しぶりに笑わせて貰ったよ｣

松本さんは目尻に溜まった水滴を指で拭うと、スープまでしっかり飲み干し、空になった丼をカウンターに上げ、

｢誕生日だし、もう一杯良いかな？｣

グラスに残っていた水を飲み干した。

｢良い…ですけど？｣

相葉さんの“おかわり”は予想してたけど、まさか松本さんが…ってのは、全く想像もしてなかったから、ちょっとビックリ。

だってそんなに大食いのイメージなかったんだもん。

それに比べて僕と和と来たら…

｢ふー、お腹いっぱい…｣

｢僕も…｣

ラーメン一杯平らげるのが精一杯で。

｢そんなだから二人共ガリガリなんだよ｣

｢えー、雅紀に言われたくないよ。ねぇ、智？｣

｢う、うん…｣

一応は和に合わせて頷いてみせるけど…

相葉さんはただ痩せているってわけてもなく、ちゃんと筋肉だってついてる。

でも和は…

｢ぷっ、ぷぷぷ…(笑)｣

突然吹き出した僕を見て、三人の視線が一斉に僕に集中する。

けど、笑いを止めることが出来なくて…(笑)

だって、僕も細いと言われることは良くあるけど、それなりに筋肉だってあるし、実は力だって相葉さん程じゃないけど、ある。

でも和のお腹って…(笑)

あ、でもこれ以上はやめとくよ。

和、お腹ポヨーンしてるって言うと怒るから…って、言っちゃった(笑)