第25章 scene5:チャペル
そんな僕の涙を、
「可哀想に、こんなに泣いて…」
NINOが黒いレースのハンカチで拭ってくれる。
でもそれと同時に、手にしたナイフは僕のドレスを無残に切り裂いて…
「私だって今のあなたみたいに、怖くて、震えて…、泣いて助けを求めたわ…。でも誰も私を助けてはくれなかった」
とうとう上半身がビスチェだけになったところで、NINOがどこかに向かって合図のようなものを送った。
「だからあなたなにも私と同じ思い味合わせて上げる」
NINOが言った瞬間、どこから現れたのか、マスク姿の男達が数人、僕を取り囲んだ。
僕は咄嗟に破れたドレスの襟を掻き合わせながら、心の中で思った。
これから悪夢のような時間が始まるんだ、って…
自分で決めたことだけど、やっぱり止めておけば良かったかな、って…
今更後悔したって、もう遅いのに…ね?
僕はのろのろと立ち上がり、どうにかして逃げようとするけど、どこにも逃げ場なんてなくて…
その逃げ惑う僕の姿を、カメラはずっと追いかけてくる。
そうしてとうとう壁際まで追い詰められた僕の腕を、一人の男が掴んで再び絨毯の上に引き倒すと、それを待っていたかのように男達が僕に群がった。
両手両足を掴まれ、それでも抵抗しようと足をばたつかせていると、ドレスの裾が乱暴に捲り上げられ…
「い、いやぁっ…!」
一人の男の手が僕の太股を撫でた。
「触らないで…」
必死で抵抗する僕を、群がる男たちの間に混じってカメラが捉えて行く。
でも僕には、カメラを意識している余裕なんて全然なくて…
ウエストのブルーのリボンで両手首を一纏めにされた僕は、屈強な男達に軽々と身体を持ち上げられると、そのまま説教台の上に乗せられた。
「いやぁっ、降ろしてぇっ…」
両手の動きを拘束された上、後ろから羽交い絞めにされ、宙に浮いた状態になっていた僕の両足は、ドレスの裾を捲り上げられた瞬間、中が丸見えになるくらいに大きく開かれた。