第5章 日常2:彼
彼…櫻井翔。
歳は…確か僕より一つ下(だったと思う…)
有名大学を卒業していて、けっこう裕福な家のお坊ちゃん(らしい)
顔は…、とにかくおっきな”目”が印象的で、けっこうなイケメン…なんだけど、笑うと可愛くも見えちゃうから不思議(笑)
後はそうだな…、服がダサい…とか?
僕も人のこと言える程お洒落には興味がないんだけど、櫻井くんは何て言うか…
せっかくかっこ可愛い顔してるのに、それが全部帳消しになっちゃうような…、そんな感じ。
だってね(笑)
どこの国の軍人さんかと思うようなミリタリーファッションでバイトに来たかと思うと、いきなり真っ白なTシャツに黒のパンツで来たり…
それも、白黒ファッションが何日も続いたりするもんだから謎で…
店長からは、お家はお金持ちだって聞いてたけど、実はそれ程でもないんじゃないか、って思ったりもしたんだけど、後々本人に直接聞いたら”単なる拘り”なんだってさ…
一度気に入ると、同じ服ばっか何枚も買っちゃうんだって。
だからね、同じ”服”ではあるんだけど、同じじゃないんだって。
因みに、ミリタリーファッションはお友達からのプレゼントだって言うんだから、やっぱり謎だ(笑)
そんな櫻井君だから、僕とは絶対気が合うとは思えなくて…
櫻井君がバイトに来るようになってから一週間経っても、僕たちは言葉を交わすどころか、挨拶すら交わすことはなかった。
だって真逆なんだもん、櫻井君と僕って…
学歴も育ちも、歳は(多分…)一つしか違わないけど、チャラい見た目に反してすっごく真面目だし、しっかり大学も卒業してるだけあって頭も良いから、仕事を覚えるのだって早い。
僕とは大違い。
なのに”まさか”…だよね(笑)