• テキストサイズ

H・I・M・E ーactressー【気象系BL】

第4章 日常1:僕


そうして始まった“僕”と“HIME”の二重生活(そんな大層なモンでもないけど…)だけど、困ったことが一つ…いや、二つかな…

それは、僕の本業に関してだ。

何度も言ってる通り、僕の本業はレンタルビデオ店の店員。

…ってことは、当然沢山のDVDを扱うわけで…

その中にはAVだってあるわけで…

ただ、AVの中でも同性同士ってのは割と少なくて、その大半が女性同士…所謂“レズモノ”が殆どで、男性同士…つまり“ホモモノ”は極めて少ない。

18歳未満立ち入り禁止コーナーの片隅に、ちょこんと…それこそ、よっぽど探さないと見つからないくらい、存在感なく並べられている。

だから安心してたんだよね…

僕の出演作品なんて、レンタルビデオ店に並ぶわけないって。

だって“僕”だよ?

そりゃ世の中には色んな趣味の人がいるけどさ、僕みたいに、どこにでもいるような地味で、平凡な男がセックスしてる姿なんて、誰も興味ないって…

そう…“僕”ならね?

でも「HIME」は違う。

だって「HIME」はAV界のアイドル女優なんだから…

僕は店長さんから渡されたダンボールの中に、「HIME」の文字を見つけた時には、思わずダンボールをひっくり返してしまいそうなるくらい、驚いた。

一応疑ったけどね?

“僕”である筈がないって。

でも見間違いなんかじゃなかった。

パッケージにデカデカと書かれた「HIME、降臨♡」の文字と、そして素肌も露わに、巻き毛を指に絡ませ、アヒル口さながらに唇を尖らせた僕が、そこには写っていた。

僕は驚きのあまり、DVDを持ったまま立ち尽くしていた。

そんな時だった。

着い一週間前にバイトとして入って来た彼…、櫻井君に初めて声をかけられたのは…


『僕』ー完ー
/ 753ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp