第4章 日常1:僕
“そっちの世界”で人気者になった僕の元へは、ビックリするくらい沢山の仕事の依頼が舞い込んで来た。
そっち系のAVは勿論のこと、そっち系のグラビア雑誌の依頼まで…
でも僕は本当のアイドルじゃない。
僕には本業(…と言ってもバイトだけど…)だってあるし、それに「HIME」を長く続けるつもりもなかった。
だって、AVに出ること自体、僕にとっては“バイトの一つ”でしかなかったから。
やっぱさ、言えないでしょ?
親とかさ、友達とかにはさ、いくら人気があったっ「AV男優やってま〜す♪」なんてさ、胸は張れないじゃん?
ってゆーか、僕の場合はある意味“女優”でもあるんだけどね?(笑)
だから僕はAV以外の仕事は全部断って、AVの仕事だけを受けることにした。
ついでに、撮影は週に一回だけ、とも…
僕もこの仕事をするようになってから知った事なんだけど、AVの仕事ってさ、見た目以上に大変なんだ。
特に僕は“受け”専門でもあったから、普通にセックスするだけでもけっこう腰に来るのに、乱暴にされた時なんかはさ、もう腰が砕けちゃうんじゃないかってくらい痛いし、中にはゴムも着けてくれない男優さんなんかもいてさ…
そういう時に限って中出しされたりするとさ、後処理が大変で…
しかもちゃんと綺麗にしてないと、次の日には地獄だしさ…
とにかく大変なんだよ。
それが分かってるから…なのかな、長瀬さんも、事務所の社長さんも、ちょっぴり残念そうな顔はしてたけど、それでも良いって言ってくれた。
アルバイトなんだから、当然と言えば当然…なんだけどね?
僕は週に二日貰えるレンタルビデオ店の休みを、「HIME」のために使うことにした。
まあ…、休みなんてあったところで、特にすることもないし、どうせ暇なら…ってやつだ(笑)