第23章 scene5:“初”エステ♡
でもさ、綺麗になりたくてエステに来てるのにさ、流石におっきくなりかかっちゃってるのが申し訳ないってゆーか、恥ずかしくて…
「変な声出しちゃって、ごめんなさい…」
僕はお顔を伏せたまま謝った。
でも斗子さんはたいして気にした様子も見せず、
「大丈夫よ。私も経験あるから」
そう…なの?
「流石にエステで勃起しちゃったことはないけどね?」
ぼ、ぼ、ぼ、ぼっ…き…って…!
そんなハッキリ言う?
もぉビックリだよ(笑)
「あの…聞いても良いですか?」
「何を?」
本当は聞いちゃいけないことなのかもしれない。
でも気になるんだ。
「斗子さんはどうして女の子に…?」
斗子さんが“男性”であることを捨てて、何故“女性”として生きる道を選んだのかが…
「そうね…、例えばHIMEちゃんは恋愛の対象が“男性”なわけでしょ?」
「うん」
「でも私の場合は恋愛対象がどうとかじゃなくて、単純に“女の子”になりたかったの」
「女の子…に…?」
僕も可愛い服を着たり、メイクをしたりもするし、可愛い物が好きだったりするけど、その感覚は、僕にはなかったかも。
「心がね、女の子だったの」
「心…?」
「そ、“心”。でもね、いくら心が女の子でも、それだけじゃ外見は変えられないじゃない?」
確かにそうかも。
いくら可愛い服を着て、完璧なメイクをしたって、中身は“男”に変わりないから…
「それにね、私自分の身体にオチンチンが着いてるのが凄く嫌だったの。どうして私の身体にはこんな汚らしい物があって、おっぱいが無いのかって、ずっと疑問に思ってたの」
あ、そっか…
そもそもの理由が僕と斗子さんとでは違うんだ。
僕は確かに女の子の格好をするのが好きだし、実際それでお仕事だってしてるけど、完全な“女の子”になりたいとは、これっぽっちも思ったことがない。
でも斗子さんはそうじゃないんだ…