第23章 scene5:“初”エステ♡
事務所に“辞める宣言”をしてから一週間後、長瀬さんから撮影の日程が決まったと連絡が入った。
驚いたことに、いつもは連絡貰って、その週には撮影…ってことが殆どだったのに、撮影までの期間が二週間もあって…
「え、え、何で?」
電話越しに首を傾げる僕に、永瀬さんが「お前なあ…」と息を吐き出す。
「え、だってそんなに間があったら…」
僕の決心が揺らぐことはないけど、あんまり撮影までの時間が長いと、気持ちが落ち着かなくって…
「あのな、色々準備することがあんだろうが…」
「準備って…、何を?」
えっとぉ…、僕が準備することっていったら、通常の撮影であれば真新しい下着と、指定があれば衣装を用意するくらいで、他には…何かあったっけ?
「言っただろ、身体のメンテナンスしとけって…」
「メンテナンスって、ムダ毛の処理とかでしょ? それなら…」
前日か前々日とかの方が、丁度良い感じになるんだけど…
あっ、もしかして…
「お股の毛のこと?」
「はあ? お前なぁ…」
え、違う…の?
「まあ…、それも当然なんだが、そんなことより大事なことがあんだろ…」
そうなの?
お股の毛を剃ること以外、身体のメンテナンスに関係すること、他に何かあってっけ?
「あんなぁ…、一応衣装合わせはこれからになるんだが…」
「衣装合わせ?」
「ああ、今回ばかりはな…」
そうなんだ…?
まあ、自分で準備するには、アレはちょっと無理あるかもね?
「おそらくこれまで以上の露出になる予定だから、その分肌のケアとか必要になんだろうが…」
あ、そゆこと?
確かに、今まで色んな衣装を着てきたけど、どれも(スカート丈は別として…)そこまで露出の激しい物ではなかったから、そこまで肌のこと気にしたことなかったけど、今度の衣装はそうもいかないか…
「それで? 僕どうすれば良いの?」
大体、お股の毛を剃るのだって自分じゃ自信なくて、和にお願いするくらいだから、お肌のケアとか?僕今までしたことないし、良く分かんないけど?