第22章 日常10:僕、決めた!
突然のことに戸惑いながら、それでもどうにかこうにか浮かべた笑顔を、翔くんのスマホが連写する。
ってゆーか、そんなに撮る?
「後で送るね?」
「うん…」
楽しみに待ってる。
「つかさ、腹空かね?」
そう言えば…
ずっと胸の奥に遣えていた物を、ほんのちょっとだけど吐き出したせいか、僕もなんだかお腹空いてきたような気が…
「何か食べる?」
って言っても、今すぐ食べれそうなのは、翔くんのお母さんが作ってくれたクッキーしかないけど…
「うーん…、別に寝ちまえば気になんないんじゃね?」
そっか、そうだよね、寝ちゃえば…って、えっ?
「あ、あの、翔くん…、もしかして…?」
お泊まり…するの?
「そのつもりだけど…、駄目?」
駄目じゃないけど…、何ならこの時間だし、ちょっぴり予想はしてたけど、まさか…だよね?
「良いけど…、着替えとかは?」
「あ、それなら安心して? ちゃんと持参してるから♪」
へ?
やたら大きなリュック背負ってると思ったら、そうゆーことだったの?
「でも僕、ゲイだよ?」
翔くんは知らないかもしれないけど、僕は翔くんのことが好きなんだよ?
「それでも良いの?」
「はあ? 何言ってんの? 俺ら友達だろ? 別に普通じゃね?」
そっか、そうだよね?
僕達“友達”だもんね?
「ふふ、襲っちゃったらごめんね?」
「お、おう…、望むところだ(笑)」
ふふ、冗談だよ?
「ってゆーか、翔くんこそ襲わないでね?」
本当は襲って欲しいくらいだけど…(笑)
「バ、バカ…、冗談ばっか言ってないで、さっさとシャワー浴びて来い。汗臭いよ?」
「え、嘘、マジで…」
やだぁ…、恥ずかしいなぁ、もぉ…
でもね、こんな風に冗談が言える関係が、今はとても嬉しい。
ねぇ、もし僕がHIMEだと知っても、こんな風に冗談言ってくれる?
今と変わらない翔くんでいてくれる?
ねぇ、翔くん…?
『僕、決めた!』ー完ー