第4章 日常1:僕
僕、大野智。
歳は25才。
子供の頃から絵を描くのが好きで、超頑張って三流の美大にまで進んだけど、“好き”と“可能性”は必ずしも比例しないことに気付いて、結果中退。
結果、現在の職業は、“一応”レンタルビデオ店の店員…だけど、簡単に言えばフリーター。
でもそれじゃ食べて行けない…というか、生きて行けないことを悟り、一年程前から副業を始めた。
その副業と言うのが、「HIME」になること。
勿論、最初っからそのつもりではなかったけどね?
本当に”たまたま”で…
町を歩いている時に”ちょっと良いですか?”なんて声をかけられて、勧誘かなんかかなと一瞬は疑ったものの、曖昧な返事を返しているうちに、気付いたら車に乗っけられて…
いよいよヤバいかもって、心の中で父ちゃんと母ちゃんに”親不孝してごめん!”と謝ったその時だった。
「君、自分でシてみてくれる?」って突然言われて…
流石にその言葉の意味が分からない程馬鹿でもない僕だけど、思わず首を傾げて見せたら、その人の手が僕のアソコに触れて…
咄嗟にその手を払い除けようと思ったけど、その人の手の動きがあんまりにも巧み過ぎて、どうしてもその手を払えず…
僕はされるがままに、生まれて初めて他人の手で下着を濡らした。
まさかその光景をビデオに撮られてる…なんて、思いもせずにね?
だから気付いた時にはもう遅くて…
あれよあれよという間に下半身を丸出しにされた僕は、カメラが回っているにも関わらず、生まれて初めて人前で”自家発電”をシて見せた。
凄く…気持ち良かった。
それまで何度も自家発電はしたことあったけど、あんなに気持ち良かったのは、後にも先にも多分あの時だけ。
その時に分かったんだ…、僕は見られていると興奮するタイプなんだ、って…
そして僕がそういうタイプの人間なんだって真っ先に見抜いたのが、最初に僕に声をかけて来た長瀬さんだった。