第22章 日常10:僕、決めた!
散らかってるけど、と前置きをして翔くんを部屋に招き入れる。
翔くんが僕の部屋に来るのは初めてのことじゃないけど、やっぱりちょっと緊張しちゃう。
「適当に座ってて? あ、何か飲む?」
って言っても、買い置きしてあったビールが数本と、麦茶があるだけだけと…
「智くんは?」
「僕?」
「智くんと同じので良いよ」
そう言われても困っちゃうんだけど…
でもな…、これから真面目なお話をしようってのに、お酒なんか飲んじゃったら、それこそ僕日ョもかからずに寝ちゃいそうだし…
麦茶で良いか…
僕は適当なグラスを二つ並べ、そかに麦茶を注いだ。
「ごめんね、急なことだったから何も用意してなくて…」
「別に良いよ」
だって一応お客様だし…
「大体、急に言い出したの俺だしさ…」
確かに(笑)
僕達はお互いのグラスを軽くぶつけ合ってから、乾いた喉を麦茶で潤した。
「それで、話って?」
「あ、うん…」
僕は三段のカラーボックスからアルバムを取り出すと、静かにページを捲った。
久しぶりに…、それこそ何年かぶりに開いたアルバムは、最初のページを開いただけですっごく懐かしい匂いがして…
勿論、実際に匂うわけじゃないよ?
でもそんな感じがしたんだ。
「え、これ智くん?」
「うん」
「へえ、全然変わってないね(笑)」
「そうかな?」
これでも僕だってちょっとは大人になったつもりだけど?
「これはご両親?」
「うん、そう。僕を抱いてるのが父ちゃんで、こっちが母ちゃんで、それからこの不貞腐れてるのが姉ちゃん」
姉ちゃんはこの写真が好きじゃないって言ってたけど、僕はこの写真が一番好きだ。
だって父ちゃんも母ちゃんも…、姉ちゃんは別だけど、すっごく楽しそうに笑ってるんだもん。
「智くんて、お父さん似なんだね?」
写真に写る父ちゃんと僕を交互に見て、翔くんがクスリと笑った。