第3章 scene1:屋上
朝待ち合わせたコンビニの前で車が止まる。
一応目は覚めていたものの、頭はまだボーッとしてて…
「お疲れ…」
長瀬さんに言われても、返事を返すことも出来ず…
無言で車を降りた僕の後ろで、スライドドアが閉まった。
「寄り道しないで真っ直ぐ帰れよ?」
「…うん…」
「じゃあな…」
「…うん…」
振り向くこともせず、頷いた僕の後ろで、車が再び走り出すのが分かった。
お腹…空いた…
翌々考えたら、早朝におにぎりを食べただけで、その後は水分だけはこまめに摂ってはいたけど、何も食べてない。
もう夕方だもんな…、お腹も空くよね…
早くアパート帰って、ご褒美に貰ったスイーツ食べよ♪
そう思ったら急に頭が冴えて来て…
僕はコンビニで缶コーヒーと缶ビールだけを買うと、帰路を急いだ。
アパートに帰り、スイーツの誘惑に負けそうな気持ちをグッと耐え、履いていたデニムを脱ぐと、その下に着けていた女性用の下着を脱いだ。
流石に車の中では下着までは変えられなかった。
いや、しよう思えば出来たんだろうけど、そこはやっぱり…ね?
穿き慣れたボクサーパンツに履き替え、寝巻きと兼用のハーフパンツを履く。
うん、やっぱり男子は楽で良い♪
「さて、と…」
僕はご褒美に貰ったスイーツの箱をテーブルに置くと、そっと蓋を開けて中を覗き込んだ。
お、今日はチョコレートケーキかぁ♪
クリームをフォークで掬って口に運ぶと、口の中にちょっとほろ苦い@でもしっかりとした甘さが広がって…
「んふふ、の〜こ〜♡」
落っこちそうになるほっぺたを僕は両手で押さえた。
「あ、そう言えば…」
スマホを取り出し、撮影でおせわになった監督さんとカメラマンさんに、
『 今日はとっても楽しい撮影でした。ありがとうございました♡』
お礼のメールを送った。
勿論、相葉さんにもね。
これでよし、と♪
僕はチョコレートケーキでお腹を満たし、ベッドに寝転がった。
ちょっと寝るには早いけど、まいっかぁ(笑)
「おやすみなさ…ぃ…」
『屋上』ー完ー