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H・I・M・E ーactressー【気象系BL】

第21章 日常9:耳を塞げば…


黙り込んでしまった僕の頭を、翔くんがポンポンと叩く。

そして僕両耳を両手で塞ぐと、暗い中でも分かる白い歯を時折のぞかせながら、翔くんが口をパクパクと動かす。

でも両耳を塞がれてしまった僕には、翔くんが何を言ってるのか全然分かんなくて…

ね…、そんなにギューってお耳押さえられたら、僕何も聞こえないよ?

お隣さんのエッチぃ声が聞こえないのは助かるけど、翔くんの声が聞こえないのは不安になる。

ねぇ、なんて言ってるの?

僕は首を傾げて不安を訴えた。

すると片方の耳だけを解放した翔くんが、僕の耳元に口を寄せ、

「落ち着いて来たみたいだし…、寝ようぜ?」

それだけを言うと、再び僕の耳を塞いだ。

落ち着いて来たって…、何が?

だってお隣の部屋では、まだ三人が真っ最中だし…

ゆっくりベッドに引き戻されながら考えてみるけど、何のことだか分からなくて…

でも、月明かりに照らされた翔くんの顔を見た瞬間、僕気付いたんだ。

あんなに元気だった僕の息子くんが、すっかり萎えてる…んじゃなくて、大人しくなってることに。

僕はぺちゃんこになったお股を見て、内心ホッとすると同時に、ちょっぴり…なんだけど、寂しさを感じた。

もしあのまま翔くんに触って貰ってたら…、もしかしたら“その先”だってあったかもしれないな、って…

そう思ったら勿体無いことしたかなぁ…とも思うけど、でもやっぱり僕的には今じゃないと思うし、仮に今そうゆーことになったとしても、それで僕達の関係が今より進展するとは思えない。

だからこれで良かったんだ…よね?

うん、きっとそうだよ…、僕は間違ってない。

そんなことより…

僕の耳を塞ぐ翔くんの手…、すっごく暖かい。

暖か過ぎて僕…、なんだか眠たくなって来ちゃった。

こんな状況滅多にあることじゃないし、もっといっぱい色んなお話したかったのにな…

僕のことだって、ちゃんと言わなきゃって…、思ってたのにな…

どうやら僕…、睡魔にはどうしたって勝てないみたいだ。
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