第3章 scene1:屋上
「お疲れ様でしたぁ♪」
長瀬さんから受け取ったブランケットを肩に掛けながら、カメラマンさんと監督さんに頭を下げて、下した下着を引き上げる。
大事なの出しっぱなしにして、風邪を引いちゃったら大変だからね(笑)
「今日も良いのが沢山撮れたよ」
カメラマンさんが、撮ったばかりのデータをPC上で確認しながら言う。
「本当ですかぁ?」
言葉は勿論のこと、表面上はカメラマンさんに笑顔を向けるけど、内心は寒くて寒くてそれどころじゃない。
不思議なことなんだけど、カメラを向けられている時は、どんなにそこが寒くても、自然と身体が火照るのに、一度カメラの前から離れてしまうと、自分でもビックリするくらい、急激に熱が冷めて行く。
アソコだってそう…
カメラのレンズが向けられている時は、どっからどう見ても元気100倍状態だったのに、今は…情けないくらいにショボンとしている。
やっぱり僕って、誰かに見られていることで興奮するタイプ…なの?
「HIMEちゃん、今回もパッケージはこっちで選んじゃって良いのかな?」
「はい、お任せします」
僕はいつも自分では写真を選ばない。
だって、自分の写真…それも大事なトコ丸出しにしてポーズ取ってる写真とか、恥ずかしくってとても自分では選べないし、凝視するだけで照れちゃうんだもん。
それにね、僕が自分で”可愛い”と思った写真と、第三者が”良い”と思う写真とでは好みだって違う。
だから僕はいつも写真のセレクトに関しては、監督さんやカメラマンさんにお任せすることにしている。
勿論、ゴーグルマンだとかマスクマンだとか?顔出しNGの男優さんの場合は別として、相葉さんみたく顔出しOKな男優さんの場合は、相手役の男優さんの意見もあるけどね?