第20章 日常8:パーティー…とは?
「なんつーかさ、AV出るとか?別に抵抗ないんだけど、俺…初めてだからさ…」
相変わらず部色を続けながら、翔くんが元々下がっている肩を更に下げる。
そうだよね、大抵の人はAVなんて”見る物”であって、実際自分が…なんてないもんね?
しかも相手は男だしさ、スタッフさん達や大勢が見てる前でセックスすること、普通に生きてたらないことだもん。
それにさ、翔くんは抵抗ないって言うけどさ、どんなにHIMEが可愛くたって実際は同じ男なわけじゃん?
ちゃんと立派な(←自分調べ)オチンチン付いてるしさ、抵抗感じないわけないんだよ。
「じゃあ…、お断りするの?」
僕的には、出来ればそうして欲しいけど…
「そのつもりだけど、正直まだ迷ってる」
「そう…なんだ…? で、でもさ、絶対にHIMEちゃんと共演出来るって保証もないんでしょ?」
和が裏で手を回せば分かんないけど…
「だったらさ…」
迷う必要…ないんじゃない?
それに、わざわざ翔くんみたいな人がAV男優の真似事なんてしなくたって、僕がいるじゃん?
だって僕がHIMEなんだから…
「あの…さ、ずっと隠してたことが…」
僕は思い切って自分がHIMEであることを打ち明けようとした。
でも…
「お? おお? これはもしかして…?」
DVDラックを漁っていた翔くんが、一枚のDVDを抜き取った。
「え、なになに?」
僕はベッドに寝転がったままで、視線だけを翔くんの手元に向けた。
「これさ、今じゃ幻と言っても良いDVDでさ、なんとなんと…」
なんと…、何?
「HIMEちゃん、衝撃のデビュー作なんだよ」
「え、ええっ…!?」
ちょ、ちょっと待って…?
「HIMEちゃんの大ファンを公言してる俺だけど、実はこのDVDだけは持ってなくて…。いや〜、まさかここでお目にかかれるとは♪」
「そ、そ、そうなん…だ…?」
ってゆーか、まさかとは思うけど…
「一緒に見ようぜ♪」
「え…?」
嘘でしょ…?
ねぇ、お願いだから嘘だと言って〜(泣)
『パーティー…とは?』ー完ー