第20章 日常8:パーティー…とは?
翔くんが歯磨きから戻るのを待って、今度は僕が歯磨きに向かう。
僕ね、歯磨き苦手で…、すぐオエッてなっちゃうから、出来れば翔くんには知られたくないんだよね…
恋する乙男心ってやつね(笑)
僕は何度もオエッてなりながらも、念入りに歯磨きを済ませると、和の部屋のドアをソーッと開けた。
「歯磨き終わった?」
「う…ん…」
先にベッドに入っていた翔くんが、手元のスマホに向けていた目を僕に向けた。
「智くんさ、壁側で良い?」
「え…」
出来れば、本当は壁側じゃない方が良いんだけどな…
だってさ、壁側って逃げ場がないんだもん。
それに翔くんて、すっごく寝相悪いし…
でも仕方ないよね?
「うん、僕どこでも寝れるから…」
そうだよ、数少ない僕の特技の中に”どこでも寝れる!”ってのがあるくらいだもんね?
大丈夫、ベッドに入ってしまえば、きっとものの五秒も経たないうちに眠れる…とおもったんだけどな…
「何…してんの?」
ベッドから出た翔くんが、ゴソゴソと部屋の中を物色し始めるから気になっちゃって…
だってさ、いくら物置替わりって言ったって和の部屋には違いないし、置いてある物だって殆どが和の物ばっかだろうし…
「ねぇ、勝手に触ったら怒られるんじゃない?」
「平気だよ、部屋にあるもん好きに使って良いって言ってたし…」
そりゃそうかもしんないけどさ、和って、一見ずぼらに見えなくもないけど、実は案外神経質なとこもありそうなんだもん。
「あ、そう言えばさ、この間言ってた話ってどうなったの?」
「この間の話って?」
「だから、その…AV出るとか出ないとか…、言ってたじゃん?」
ちょっと考えてみるって言ったっきり、その後どうなったのか、和も翔くんも何も言わないから、実はずっと気になってたんだ。
「ああ、その話? 実際興味はあるよ?」
やっぱり…?
だって大好きなHIMEに近付けるチャンスだもん、こんなビッグチャンスを翔くんが無駄にするわけないもんね?