第20章 日常8:パーティー…とは?
「え…?」
今なんつった?なんて言いながら、耳をホジホジ僕に傾ける櫻井くん。
なんだか凄く間の抜けた顔をしている。
「だから、僕は誰とも付き合ってないって…」
「違う、その前…、二宮くんが相葉さんとってやつ…」
あ、そっち?
僕はてっきり、僕に恋人がいないことの方が気になったんだとばかり思ったけど、違ったのね?
「あ、ああ、うん。そうだよね、相葉さん?」
僕は相葉さんの肩を叩くと、ミラー越しに視線を合わせた。
「そうだよ。元々和と智が友達で、それで…ね?」
「うん」
半分嘘だ けどね?
実際、僕と和は共演したことはあっても、番号を交換するようなお友達になったのはつい最近のことだし、相葉さんとは、その前にも共演してるけど、そこまで親しい間柄でもなかったんだから。
僕のことを“智”って呼ぶのだって、和がそう呼ぶからだしね?
だから全くの嘘ではない。
「なんだ、そうだったんだ?」
それまで、鬼さんみたくつり上がっていた櫻井くんの目尻が、ビックリするくらい一気に下げられる。
そして、
「なんだ、そうならそうと言ってくれれば良かったのに」
なんて大笑いしながら僕の肩をバンバン叩いてくるから、いつも呑気な僕だけど、ちょっとムカついちゃう。
「もう、大野くんも人が悪いな(笑)」
はあ?
僕はちゃんと言おうとしたのに、勝手に誤解して、勝手にプリプリしてたの、櫻井くんの方じゃん?
僕は何も悪くないもん。
まあでも、誤解もちゃんと解けたみたいだし、勝手に悪者にされたのは…ちょっぴり不満が残るけど、一応良かった…ってことにしておこうかな♪
だって僕、櫻井くんの怒った顔、まるで知らない人見てるみたいで好きじゃないんだもん。
やっぱり僕は、眉毛も目尻も思いっ切り下げた、ちょっぴり情けない櫻井くんの笑顔が好きなの。
あ、めちゃくちゃ格好つけてる櫻井くんは、もーっと大好きなんだけどね?♡