第19章 scene4:宴会場
「なんか…分かる気がするな…」
僕にも同じよいな経験がある。
一度や二度じゃない、誰かを好きになる度に、悔しくて、悲しくて…、で、結局諦めちゃうんだ。
こんな僕を好きになってくれる人なんて、この世にはいやしないんだ、って。
「友達なんてさ、絶対なれっこないのにね…」
「智にも経験あるんだ?」
そりゃあるょ、僕にだって…
「僕もね、凄く好きな人がいてね、思い切って告白したんだけど、ニノと同じ…“友達としか見られないから”って言われて…」
僕はその一言を信じたんだ。
恋人にはなれなくても友達でいられれば良い、って…
「でもさ、告白した翌日だったかな…。学校行ったらさ、皆が僕のこと見てクスクス笑うんだ、“変態が来た”って…」
「何それ、酷っ…」
うん、その時は僕もそう思った。
だって僕にとっては男の人を好きになるのは普通のことで、それが異常なことって思ってなかったから…
「だからね、誰かを好きになるのが凄く怖かった…ってゆーか、好きになっても、それは自分の胸に仕舞っておかなきゃいけないんだ、って…、告白なんてしちゃいけないんだ、って…」
きっと相葉さんも、自分から告白するのは怖かったんだと思う。
でもニノにしてみたら。そんな相葉さんが焦れったかったんだろうね?
僕でも、もしニノの立場だったら…、同じようにしてたかもしれないもん(笑)
「でも今は違うんでしょ?」
聞かれて僕は、ニノの顔を見ることなく頷く。
告白するのは…正直怖い。
でも、僕から告白しない限り、僕と櫻井くんの関係はこのまま変わることはない。
勿論、“このまま”でも悪くはないけど、やっぱり気持ちだけは伝えたいもん。
それで結果がどうなろうと、それはそれで仕方ないだろうし、櫻井くんのことだから偏見の目で見ることはないだろうし…
「そっか…、ま、陰ながら応援はしてるからさ、頑張ってよ」
「うん…」
ま、その前に僕が“HIME”であることを、櫻井くんに伝えなきゃなんだけどね?
あーあ、告白するって、簡単なようで色々難しいのね?
問題山積みだよ…
『宴会場』ー完ー