第19章 scene4:宴会場
そうしていよいよ撮影開始…と言う時、僕はあることに気付いた。
「あのぉ…、インタビューって言ってませんでしたっけ?」
そうだよ、肝心なインタビュアーさんがいなくちゃ、いくら僕が準備万端でも始めらんないじゃん?
「ああ、それなら…」
坂本監督が隣にいた助監さんの肩を叩き、耳元で何やらゴショゴショ言うと、助監さんがスっと立ち上がり、部屋を出て行ってしまう。
その後ろ姿を見ながら僕は、なんとな〜く嫌な予感がするんだけど…、僕の気のせい?
僕は若干の不安を感じながら、ちょっぴり痺れ始めた足を崩した。
その時、
「お待たせしました」
助監さんに促されて部屋に入って来た人の姿に、僕の目がこれでもかってくらいに見開かれた。
「え、な、なんで? どうしているの?」
だって僕、何にも聞いてないよ?
昨日の夜も電話で話してたし、なんなら朝まで一緒だったんだよ?
なのになんで?
「くくく、何て顔してるの? 可愛いお顔が台無しよ?」
「え、だ、だって…。え、え、インタビュアーさんて、まさか…?」
「そう、私がHIMEちゃんに、あんなことやこんなことたーくさん聞いちゃうの♪」
嘘…でしょ…?
「ビックリした?」
「う、うん…」
そりゃビックリするよ…
まさかNINOが来るなんて、僕、想像もしてなかったもん。
「ど、どうして何も言ってくれなかったの?」
ちゃんと教えてくれてたら、こんなに驚くこともなかったのに…
あ、まさかこれも坂本監督が企んだサプライズだったとか?
もぉ…、信じらんない…
「あ、こーら…」
プーっと膨らました頬を、NINOが指でムギュッと摘む。
「可愛さが売りのHIMEちゃんが、そんな怖いお顔しちゃダメでしょ?」
「だってぇ…」
「くくく、でも他の見ず知らずの人なんかより、私がインタビュアーで良かったでしょ? 私ならHIMEちゃんのこと、なーんでも知ってるものね?」
うん…、NINOで良かったと思うよ?
でもさ、何でも知ってるNINOだからこそ怖いんだよぉ…