第18章 scene4:露天風呂
顔が映っていないことは分かっていながら、でもカメラから目線を外すことなく、赤い帯の端っこを指で摘んで、ゆっくりと解いて行く。
シュルンと音を立てて解けた帯が、竹(なのか?)が編まれた床に、まるで渦を描くように落ち、僕の肩からはだけた浴衣が滑り落ちた。
その時も僕の目線はずっとカメラのレンズを見つめたまま。
なんでかって?
ふふ、それはね…
いつレンズが向けられても、常に”HIME”でいるため。
カメラに神経を集中させることで、自分が”HIME”でいることに集中できるから…
だから僕はカメラのレンズから目を逸らすことはないの。
そして願うの…
”もっと僕を見て”って…
”僕を愛して”って…
そうするとね、それまで床に落ちる帯びや浴衣ばかりを追っていたレンズがね、僕の身体を舐めながらどんどん上がってきて、僕の唇で止まるの。
不思議でしょ?
だから僕は言うの、
「もぉ…、そんな目で見ないで?」って…
それからこうも…
「そんな風に見られたら、HIME…恥ずかしいよ…」って…
まるで恋人に語り書けるようにね。
まあ…僕の場合、本当に恋人がいるわけじゃないから、好きな人(つまり櫻井くんね♡)になったりするんだけど♪
僕はレンズの向こう側にいる彼に、ほんのちょっとだけ恥じらいの表情を見せてから、両腕を背中に回した。
真っ赤なブラのホックを外し、片方ずつ肩紐を落とす。
でもすぐには見せて上げないの。
ふふ、意地悪してるわけじゃないのよ?
だって、散々愛し合った後なんだから、今更隠す必要なんてないもん。
それでもやっぱり楽しみは残しておきたいじゃん?
一度に全部見えちゃったら、楽しみが半減しちゃうもん。
ほら、プレゼントだって最初っから箱の中身が透けて見えてたら、蓋を開ける楽しみが無くなっちゃうでじゃん?
そんな感じかな笑)
僕は片手で胸元を隠しながら、まるでプレゼントのリボンを解くように、真っ赤なブラを外し、脱衣かごの中に入れた。