第17章 scene4:温泉宿
それにしても、城島さんの運転って、どうしてこんなに眠くなるんだろう…
勿論、朝早かったせいもあるんだけど、それだけじゃない気がする。
僕は一つ大きな欠伸をすると、車の備品と化しているフワモコブランケットを引き寄せ、膝にかけた。
だってさ、ヒラヒラしたスカートの裾、超短いんだもん。
しかもさ、生足だよ?
超面積少ないパンティ一枚しか履いてないのに、ストッキングも無しなんだよ?
さすがにこのままゴロンてしたら、お尻出ちゃうからさ♡
「着いたら起こしてね?」
僕は城島さんに断りを入れると、ウィッグを気にしつつもウサギさんの形をしたクッションに頭を預けた…けど、
「眠いとこ悪いけど、着いたわ…」
城島さんが苦笑混じりに言うのと同時に、車が停まった。
そしてスライドドアがゆっくり開くと、
「おい、寝てる暇ないぞ」
相変わらずぶっきらぼうな長瀬さんの声が聞こえて…
え、どゆこと…?
首を捻る僕をよそに、長瀬さんがトランクから荷物を下ろし、横付けにされた真っ黒なワンボックスカーに載せ替えた。
「あ、あの…」
「ああ、今日は別の車で移動らしいよ?」
「え、そう…なの?」
知ってたなら教えてよね?
僕、びっくりしちゃうじゃん?
僕はフワモコブランケットを手に、仕方なく車を降りると、
「乗れ」
長瀬さんに言われるままに、真っ黒なワンボックスカーの後部座席に乗り込んだ。
すると…
「おはよう。へえ、君が噂の…。今日はよろしくね?」
ハンディタイプのカメラを構えた、ちょっぴり頼りなさそうな男の人が、なくなっちゃうくらいに目を細めて笑った。
僕は内心困惑しつつも、得意のHIMEスマイルを浮かべ、
「えと…、よろしくお願い…します」
ちょっぴり肩を竦めて小首を傾げた。
「や〜、話には聞いてたけど、可愛いな〜♡ 相葉ちゃんがベタ褒めするわけだ(笑)」
え、どゆこと?
相葉さんの知り合い…ってゆーか、お友達さん…なの?