第16章 日常7:眠れない僕と寝相の悪い彼
いいもん、いいもん…、僕拗ねたんだからね?
しっかり(?)、すっかり(?)いじけた僕は、一人になりたくて、普段はあんまり入りたいとは思わないけど、黒地に18禁とショッキングピンクで書かれた暖簾をくぐった。
だって仕方ないじゃん?
たまたま抱えたDVDの山が、ぜーんぶAVだったんだもん、仕方ないじゃん…
ただ有難いことに、この一角だけは、他のコーナーとは違って人が少ない…ってゆーか、誰もいない。
そりゃそうか…
週末の昼間にDVDを借りに来るのは、大抵が小さな子供を連れた家族連れが殆ど。
AVなんて借りに来るのは、一人エッチが目的の、よっぽど寂しい人くらいのもんだもん。
だからAVコーナーなら一人になれる…って、思ったんだけどな…
手際良くDVDを棚の空ケースに入れる僕の背後で、何本かのDVDが棚から落ち…
あーあ…、やっちゃった…
てっきり僕が触って落としてしまったと思った僕は、抱えていたDVDを一旦足元に置こうと、腰を屈めた。
その時、僕のお股の間に、くたびれたサンダルを履いたゾウさんみたいな足が見えて…
「えっ…?」
がに股状に開いた僕の足の間に、足と同じくゾウさんみたいな手が突っ込まれた。
「や…っ…」
息子くんをむんずと握られ、僕は思わず目の前の棚に両手を着いた。
ってゆーか、お前(←やん、“お前”なんてはしたない…)誰っ!?
「あ、あの…、ちょっと困りま…、あんっ…」
抵抗したいのに、ゾウさんの手はすっごく巧みで…
ジーンズ越しなのに、的確に敏感な部分をモミモミしてくる。
あ、もしかして…コイツ(←はしたないからっ!)、ニキビくん?
あぁ〜ん、もぉ…、何で?
だいたい、僕ずっとレジにいたのに、いつの間に?
あ、まさか僕が入る前から隠れんぼしてたとか?
だとしたら、とっても暇人なのね(笑)
…って、感心(?)してる場合じゃない!
なんとかしなくっちゃ…
だって、こんな所でそのぉ…サレちゃったらさ、大事件じゃん?