第14章 日常5:素顔の僕とお姉ちゃん(?)
「ところで…」
さっきまでお腹を抱えて笑っていたNINOが、目尻の涙を拭いながら、ちょっぴり真面目な顔をするから、僕の背中がピンと伸びた。
「メールでは聞けなかったんだけど…」
「うん…」
「HIMEちゃんには好きな人がいるんだよ…ね?」
NINOの問いかけに、僕は素直に頷く。
「好きって言うか…、最近になって気がついた…って言うか…」
だから、櫻井くんを“好き”って気持ちには嘘はないし、多分自分の気持ちに間違いはないと思う。
「そっか…。でも、その“彼”が、松本さんの従兄弟で、おまけに撮影現場にも来ちゃった、と…?」
「うん…」
だってさ、まさかと思うじゃん?
そりゃさ、櫻井くんから事前に聞かされてはいたよ?
見学に行く、って…
でもそれが“たまたま”なのか“狙い”だったのかは分かんないけど、僕の撮影の時だなんて…、思わないもん。
「その“彼”って、HIMEちゃんが…、えっと名前…」
えっ?
「だから名前教えて? “HIME”じゃなくて、本名の方」
「あ、ああ、えっと、智…、大野智です」
「くくく、智って言うんだ? あ、ちなみに私は二宮和也、雅紀には“和”って呼ばれてるの」
あ、そう言えばさっき相葉さんが“和”って呼んでたっけ…
「くく、宜しくね、智♡」
「あ、こ、こちらこそ宜しく…です、和…さん」
「“さん”いらない。“和”で良いよ」
「で、でも…」
年は…知らないけど、一応仕事上は先輩だし、さすがに呼び捨てにするのは気が引けちゃう。
「だって私達友達でしょ?」
「友達…?」
「そ、友達 」
なんだろ…
高校出てすぐ一人暮らし始めて、バイトとか仕事上のお付き合いとかはあっても、“友達”ってのはあんまりなかったから、すっごく新鮮かも♪
「え、えと、じゃあ…、和、宜しく…ね?」
僕が言うと、NINO…じゃなくて、和が右手を差し出してくるから、僕はその手を同じく右手で握り返した。
その時、
「ご飯出来たよ〜♪」
相葉さんが僕達を呼んだ。