第13章 scene3:待合室
僕は、僕のおっぱいと“暴れん坊将軍”を掴んだ手に自分の手を重ねると、そっと瞼を伏せてから、首をゆっくり横に振った。
「HIME、疲れたりしないわ。だって幸せなんですもの」
そりゃ腰は痛くなるし、場合によってはお尻だって…
でも、そこに本当の愛がなかったとしても…、お芝居だったとしても、HIMEの身体で気持ち良くなってくれるなら…
それだけでHIMEは幸せなの♡
それじゃダメなの?
「そ…うか…、なら良いんだが…。翔の奴がね…」
え、櫻井くんが…?
櫻井くんがどうしたって言うの?
「いやね、仕事とはいえ、あんまり酷くしたら君が壊れてしまうんじゃないか、って心配するもんだからね…」
櫻井くんがそんなことを…?
嬉しいけど…
HIMEの身体を気にしてくれるのは嬉しいけど、でも…
「それとね…」
え、まだあるの?
「ガバガバになってしまうんじゃないかって…」
ガ、ガバガバって…
「や、やだぁ…っ…」
自分の顔が、一瞬で火がついたみたいに熱くなったのが分かった。
だって…ガバガバとか…、そんなこと考えたこともなかったし、第一お尻の穴なんて自分では見れないし…
「勿論、女とは構造が違うから、そんなことはない筈だと否定はしておいたが、何せ翔の奴は君の熱狂的なファンだからね…」
知ってるよ…
だって櫻井くんのお部屋、壁も床も天井も…、全部HIMEで埋め尽くされてたもん。
でも…だよ…
僕は松本さんの手から自分の手を離すと、ヨロヨロと立ち上がり、フラフラとスタジオセットか出た。
「どうした…」
僕の様子に気付いた長瀬さんが、今にも倒れそうな僕に手を差し出すでもなく、僕の顔を覗き込んだ。
「なんでもない…もん…。早く帰ろ?」
「まだスチールのチェックが済んでないが…」
「そんなの適当に選んどいてよ…。HIMEは今それどころじゃないんだから…」
だってガバガバって…
僕のお尻…ガバガバだって…
はあ…、こんなショックなことってないよ…