第10章 日常4:彼のベッド
とは言え、やっぱり反応は気になるわけで…
だって、こんな立派過ぎるお家の“お坊ちゃま”なんだから、きっと普段から高級なお料理しか口にしてないだろうしね?
「ど、どうなかな?」
味音痴の…じゃなくて、櫻井くんの口に合うか聞いてみる。
すると櫻井くんは凄い勢いでオムライスを口に掻き込み、口の中で何度かモゴモゴさせると、
「うっま! 何これ、超美味いんだけど…」
米粒をテーブルに飛ばしながら言った。
「ま、マジで? ホントに美味しい?」
「うん、マジで美味いよ」
良かった…、もし不味いとか言われたらどうしようかと思ってたけど、美味しいって言って貰えて嬉しい。
ただ、味音痴の言う事だから信用は出来ないけどね?(笑)
「俺さ、実はオムライスとか、けっこ好物だってりすんだよね…」
「へえ、そうなんだ…」
「でも家の親、超料理下手で(笑) たまにオムライスとか作ってくれんだけどさ、これがなんつーか…、超不味くて(笑)」
「そうなの?」
僕は櫻井くんのお母さんだから、てっきりお料理も完璧なんだと思ってたけど…、そうじゃなかったんだね…
「しかも家親共働きしてっから、料理とかにあんま手かけらんないんだよね」
「そっか…、忙しいんだね…」
「まあね…。だからさ、こんなこと言うの超恥ずいんだけどさ…」
「え…?」
「大野くんのこと嫁にしたくなった」
「は、はあ? な、な、な、なに、いきなり…」
思いもかけない一言に、僕の心臓がドクンと大きく脈打った。
だって“嫁”って…、それ本気?
違うよね?
だって櫻井くんが好きなのは“HIME”であって、“僕”ではないんだから…