第2章 連絡
私は帰宅するなり、自室に向かいベッドにゴロンと寝転んだ
あ〜〜このまま寝てしまいたい……
しかし一人暮らしなのでそんなことをしたら、明日の朝が大変なことになってしまう……。昔何回かやったけどあれは地獄。
なんとか起き上がり、着替えを用意する
一人暮らしをしたのは就職してからのこと
実家はターフタウンだけど、一人暮らしのためエンジンシティに引っ越した
まぁ、駅員なのですぐに列車には乗れるんだけど、仕事でターフタウンに戻ることもある。
本来なら私はエンジンシティの駅員だが、最近人手が足りなくなっているみたいで、たまに他の駅にお手伝いしに行く日がある
「あ……」
疲れて忘れてしまっていたが、キバナさんからリーグカードをもらっていたのを思い出す。
仕事終わったら連絡しろって言っていたなぁ……
私はキバナさんのリーグカードを手に取り、またジムチャレンジの時のことを思い出す
「……ありがとう、ございました」
「おう 何度でも挑んでこい」
確かあれは最後に挑んだ時のジムチャレだった。
私は3回目にも関わらずキバナさんに負け続けていた。
「(もう、期間も終わる。……きっと次挑んだ時で最後だ)」
そう考えると涙がこぼれ落ちそうになる。ダメだ。こんなスタジアムのど真ん中で泣き出すわけにはいかない。
そう思い、私は足早に控え室に戻って、声を殺して泣いた。
悔しい気持ちもあるし、悲しい気持ちも、寂しい気持ちも、色々ごちゃごちゃになっていた。
あの時の私は弱かった。否、弱ってしまっていた。自らを支えきれず、挫けてしまった。もちろんうちのポケモンたちに支えられてはいたけど、限度があった
「……あれから数年後、あの時手に入れたかったリーグカードを手にしてしまうとはね」
リーグカードに写っているキバナさんを見る。裏面にはスマホロトムの連絡先などが追記されていた
「……よし、連絡……してみよう」
震える指先で連絡先を記入していく。
最初なんて送ればいいのかな、と思ったが、特に何も思いつかなかったので最低限のことだけを書いて送った。送る時に何回も誤字がないかを確認した
スズです。
追加させてもらいました。
たったこれだけなのに緊張するってなかなかだよね、と思いながら着替えを始めた