第1章 再会
「嬉しいですけど、仕事中ですし……ポケスタにあげられるのも遠慮させていただきたいのですが……」
そりゃツーショットで喜ばないわけがない。
ジムチャレンジをしていた頃はキバナさんと写真を撮りたいという欲もあって、絶対に勝つ!と思っていたくらいだ。
だけど、もうやめてしまったし、SNSも見る専門だし……
チラッとそばにあった時計を見るが、上司はいつもこの時間帯はコーヒーを飲んで休んでいる最中だろうな、と来ないことを確認する
助けがこない……という気持ちと、まだキバナさんと話ができるという気持ちで複雑ですけど……
「プライベート用だよ。ほら、笑って」
「え……」
私が反応する間も無く、少し屈んで距離を詰めてきたキバナさんはスマホロトムで写真を撮った。
画面には驚いた表情の私と、至近距離でいつものようにニッと笑っているキバナさんが写っている。
「ありがとな。」
「い、え……大丈夫です」
心臓がうるさい。キバナさんは誰が見てもイケメンというであろう顔。自撮りする至近距離まで迫られてドキドキしないわけがない。ああ、心臓に良くない!
「キバナさん、そろそろ私……」
「ああ、ごめんごめん。」
写真を見ていたキバナさんはポケットにスマホロトムをしまい、少し考えた後ポケットからカードを出した
「オレ様のリーグカード。仕事終わったら連絡してくれよ」
「……えぇえっ!?なっ……!?」
思わず大声を出してしまった。ああ、もう!冷静でいたかったのに!
ほら!キバナさん少しびっくりしてるよ!最悪だ……
すると彼は口を緩めて小さく笑った
「……ふふっ、変わってねーな。安心したわ」
「いや、これはその……!」
慌てて弁明をしようとしたが、変わってないという事が否定できず何も言えなかった。
私のことなんて忘れていると思っていたのになぁ……
「ほら、まだ仕事中だろ?オレ様も用事あるし、受け取れって」
「わ、わかりました」
こうして私はキバナさんの連絡先を手に入れてしまったのだった
まさかこうして話しかけてくれるとは……
それと同時に何故私を?と、疑問を抱いたが仕事が終わっていないから、また後で連絡する時に聞こう
キバナさんが小さく手を振ってくれたので、私もそれに応えるように手を振って見送った。