• テキストサイズ

BERKUT【PSYCHO-PASS】

第16章 楽園事件:7


白い足先はだんだんと小さな羽根に覆われて茶色くなり、黒く大きな爪が生えた。腕を大きく広げる勢いと同じくして大きな羽根が一気に生えた。大きな翼だった。広げれば三メートルはくだらない。顔も茶色い羽毛に覆われて、尖った嘴がついていた。上半身は胸筋が大きく発達。検査衣のボタンは全て外れてただの布となり地面に落ちた。

「…立派ですね。」

常守がポツリと呟き、自分と同じ体高もあるイヌワシに近寄る。瞳は変わらずアンバーの輝き。たたまれた翼に触れると柔らかくて温かい。ホロでもドロイドでもなく本物だと実感する。

「チベット・ヒマラヤ地方に生息する、ベールクトと呼ばれる亜種です。」

常守と宜野座に届いたのは指向性音声。の声だった。
宜野座がデバイスでをスキャンする。
検索結果にはベールクトという種類はイヌワシの中でも最も狩猟を得意とし、一部では最強だという説があると表示された。

「小柄な女子が一変、巨大イヌワシか…。ベールクトは昔の戦闘機の愛称にもなっている。」

「すごく強そうですね、さん。」

常守が彼女のふわふわの頭を撫でると気持ちよさそうに目を閉じていた。と、思えば首をぐるりと回して遠くを見る。常守には暗くてよく見えないが人影があるような気がした。

「センセイ…」

彼女の声が全員の脳内に響く。ドローンにより対象を照らす。男性がフラフラと歩き近づいてきた。


あれは、間違いなく阿頼耶の姿だった。

/ 260ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp