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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第13章 楽園事件:4


「それなんですけど、元々の遺伝子構造によって動物の因子の定着率は影響すると思いますか?」

「…悪い、もう一回言って?俺バカだから理解できなかった。」

そうは思わないが常守はもう一度ゆっくりと言葉にした。それに答えたのは亮一ではなく聞いていた唐之杜。

「実証がないから確かではないけど、まああり得なくはないわよね。例えば移植がそう。他人の物を無理矢理くっつけるわけだから似てるでしょ?移植も馴染むのには個人差がある。人によっては大きく拒否反応を示すことも…」

「そうですよね、私もその線で考えていました。そこで思ったんです、阿頼耶真とさんが血縁者であることは分かったので、恐らく化身能力も同程度のスピードがあるんじゃないかって。」

「そいつは恐ろしいね、猫になる速さより因子の馴染むスピードの方だ。」

「それは具体的にどんな風になるんですか?」

「簡単に言えば野性味が増してくる。攻撃性や慎重さ、身体能力が同等のものになる。さらに人間としての本来の思考と判断能力だ。とにかく阿頼耶は頭がいい。頭の良いやつってのは何を考えてるか分からない。」

つまり阿頼耶の思考の先をいかないと捕まえられない。

「阿頼耶は確かに生身の人間で太刀打ちするのは難しい。俺が実際そう思ったんだが、バカみたいな力で掴みかかってきた。あの爪と牙はやっかいだぞ。」

「そうですね、スピードやパワーも人間の方が遥かに劣りますし…せめてドミネーターが反応してくれれば…」

遠距離攻撃が有効であるのは明白だがドミネーターが通用しないのが難点だ。そうなればあとは罠をはるか。それにしたって天才の頭脳や感を上回らなければならない。

「だからは協力してるんだろ。」

亮一が言った。そもそも公安局に手助けなんて必要がなかった。すぐ断っても良かった。なんなら逃げることもできる。それをしなかったのは他でもない彼女の判断だ。

「私達には捕まえてほしくないって素振りでしたけど…」

「迷ってんのかな…」

自分も含め。そう亮一は言った。阿頼耶を捕まえては妹を取り戻す。そこから先は考えていない。どう処理するべきかは分からないのだ。その不明瞭なところは公安に任せたい。

「面倒は俺たちに押し付ける気か。」

「まぁでもそれが私達の仕事ですから。」
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