第2章 お兄ちゃんと一緒【寺光遙日】【寺光唯月】
「ゆかりっ。」
「はるにいちゃん。おかえり。ってかここお風呂。」
「一緒にはーいろ!」
急に実家に帰ってきたらしいはるにいちゃんが服を脱ぎ捨てて一瞬で掛け湯をして湯船に入ってきた。
わたしは高校一年生で、明日16歳になる。
祖父母は、駄菓子屋を営んでいて、日中は店番をしている。
「はるにいちゃん、なんかまた大きくなった。」
はるにいちゃんに抱き締められて、がっしりした筋肉を感じた。
「ゆかりも大きくなったな〜♪」
はるにいちゃんに胸を揉まれる。
「っ!はるにいちゃん。そーゆー事するなら出てって。」
「ゆかり、待って待って〜!冗談だって〜!」
はるにいちゃんを全身で拒絶すると必死にわたしに縋り付いてきた。
「わたし、もう上がる。」
「そんなぁ〜。」
涙目のはるにいちゃんは知らんぷりで、ガラッと扉を開けると、ふわふわのタオルに包まれた。
「ゆかり。はるに何かされたの?」
「ゆづにいちゃん。」
わしわしと頭を拭かれる。
「はるにいちゃんが、セクハラ。」
「はる。ゆかりをいじめないの。」
「唯月〜。む〜。」
はるにいちゃんとゆづにいちゃんは、双子だけど、ゆづにいちゃんの方がお兄ちゃんだ。
「このタオル、ふわふわ…」
「ゆかりにあげるために買った。」
ゆづにいちゃんは優しい。
「明日、出かけよう。誕生日、一緒に過ごしたくて、帰ってきたんだ。」
「うん。行く。」
「ちょっと、俺も行くからねー!!」
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「唯月。抜け駆け。」
「はるの方が抜け駆けでしょ。」