第11章 【金城剛士】I FOR YOU…3【KoC】
目を覚ましたのは病院だった。
隣にはお兄ちゃん、ママ。
すぐ看護師さんとお医者さんと、それから警察の人が来た。
今日は挨拶だけだけど、後日取り調べさせて欲しいって。
ママは泣いてた。ごめんなさい。
お兄ちゃんは謝ってた。
パパは…怖くて聞きたくない。
きっと退院したら説教だ。
結局事情聴取が終わってすぐに開放された。
検査の結果どこも異常がなかったのであとは家で経過観察、ひと月後に来院、らしい。
わたしはしばらくバイトをお休みすることになったし、行きはパパ、帰りはお兄ちゃんに送迎してもらう事になった。
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大事をとって1週間後。
登校初日、帰りに校門前で金城さんが待っていた。
携帯はあの時壊れてて、ずっと連絡取れてなかったけど、どうしてだろう?
和南お兄ちゃんに聞いたのだろうか。
ていうか、左の頬が腫れて口の端から血が出てる。
朝から喧嘩?!
「金城さん!?怪我してますよ!!手当しないと」
「このくらい平気だ」
「でも…あれ?お兄ちゃんは…?」
「俺が頼んで、席を外してもらった。近くにいる。」
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校門前だと目立つので、わたしたちは学校の近くの、誰もいない静かな公園に来た。今日は特に寒くて、子供たちも家で遊んでいるのだろうか。
そんなことを考えていると、隣で歩いていた金城さんが、わたしをベンチに座らせた。それから、勢いよく頭を下げた。
「ゆかり。本当に申し訳ない。俺のせいで怖い思いさせた。
……お前の近くにいる資格がないことはわかってる。でも俺は、お前のことが好きだ。」
頭を下げたまま言葉を紡ぐ金城さん。わたしは胸がキュッとなって、自然と微笑みながら言葉を返していた。
「金城さん。わたし、なんにも分かってませんでした。これからは、必ず誰かと一緒に行動するし、危ない場所には行きません。だから、これからも一緒に居てもいいですか?」
金城さんのあたまをなでなでして、両手をぎゅっとにぎった。
「……」
金城さんは言葉に詰まっている様子だ。
どこからか和南お兄ちゃんがやってきた。
そして、金城さんは頭を上げ、2人は対峙した。
「2度目はないからな。」
「わかってる。」
「あー、倫毘沙がなんて言うか。」
和南お兄ちゃんのため息。
そして、冷たい気配。