第6章 死にたい彼女【増長和南】
「死にたいよ。死にたい。」
「そっか。よしよし。」
わたしは増長和南と恋仲の女だ。職業は一応モデル。
でも虐待とネグレクトされて生きてきたわたしは、ずっと心の中で自分にナイフを刺している。ずっと死にたいんだ。どんなに幸せでも、その日の夜には死にたい。悲しければ、逆にもっと死にそうな時あったな。と冷静になれる。案外タフなのかもしれない。幸せ恐怖症なだけかもしれない。でも死にたいんだ。死にたい。死にたいんだ。
「ゆかり。愛してるよ。」
「和南。愛してる。でも、死にたい…」
わたしはただ涙が止まらない。和南はいつもそんなわたしをただ抱き締めてあやしてくれる。
「和南。怖いよ。捨てないで。」
「俺が、ゆかりを裏切ったことある?ないだろ。信じてよ。」
和南にキスされた。深くて熱いキスにだんだん頭がとろけてくる。
「んっ……はっ、」
「俺のために生きてよ。」
和南に押し倒されて、目の前に優しく微笑む和南でいっぱいになった。和南。わたしには和南しか居ないよ。こんなのダメだってわかってるけど、わたしはずっと和南にずぶずぶに嵌っていて、もう抜け出すことは出来そうにない。
気づけば、和南の綺麗な指がわたしを愛撫していて、わたしは流れる涙を止めることをせず、されるがままになった。
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和南side
「あん、あぁ。あっ。」
俺の下で小さく喘ぐ彼女。ゆかりは死にたい女の子だ。俺は彼女が愛しくてたまらなくてこうして会えば抱く。死にたい死にたいと心を自分で傷つけて、俺に寄りかかってくる。俺はそこにつけ込んでここぞとばかりにどろどろに甘やかして、彼女を手中に収めるんだから、悪い男だろう。でも、これが俺の幸せなんだから、誰にとやかく言われる筋合いはない。
「かず、な、キスして……んっ」
愛を求めて涙を流すゆかりに愛を沢山与えて俺しか見えないようにさせて愛の檻に閉じ込めて永遠に俺のものにするんだ。
「愛してる、ゆかり。」
見なくてもわかる、今俺の口元は醜く歪んでるだろう。隠すように彼女にキスの雨を降らせた。
かわいいゆかり。俺の籠の中の鳥。
儚く美しい君を、心の底から愛してる。
END