第13章 Capture!〈遠坂 雪音〉
優一さんと天馬君と私が主郭になってシュートまで道のりを繋いでいく。
「雪音ちゃん、行くよ!」
『はい!』
優一さんと合わせ技なんてやった事ないけど…剣城君だと思えば出来ない事もないかもしれない。
「『ゴッデスドロップ!』」
タイミングぴったりにシュートを決める。これはイケる…!
「凄い!二人とも息ぴったりだったよ!」
『剣城君だと思ったらいけました!』
「俺も一応剣城君だけどね」
『あっ…すみません…』
確かに兄弟なら苗字が同じなのだから、変えた方が良いのか…。いやでも、優一さんは優一さんだからなぁ。
「お疲れ様、雪音ちゃん」
『瑪瑙さん!どうして此処に?』
「私達はパラレルワールドから来たの」
『パラレル…ワールド?』
「エルドラドが歴史を改変した事により、私達が生まれてしまったみたい。ずっと前の記憶はあるのにね」
何処か悲しそうに言う姿は、いつもの瑪瑙さんとはどこか違う。今にも目から涙が溢れてきそうで。
「本当は優一君だけが来る予定だったんだけどね。私も無理を言って連れてきてもらったの」
『そうなんですか?』
「うん。この世界だと、まだ私達は付き合ってすらいないみたいなんだけど」
『という事は…』
「私達、あっちの世界ではもう結婚してるの」
『ええええええ⁉︎』
「私達の世界では高校一年生の年から結婚が出来るんだけど、私達は高校に入ってすぐに結婚したの」
『そ、そんなに早くから…』
瑪瑙さん達はそんな前から一緒になる覚悟を決めてたんだ。
「でもね、優一君が活きいきしてて、それで京介くんはサッカーを抑え込んだままの姿を見て、何処か違うなって思ってた」
『瑪瑙さん…』
「それで支援者Xって人から本当の出来事を聞いたの。そしたら納得しちゃった。優一君は足を怪我して入院中だけど、京介くんは優一君の為に、何より自分の為にサッカーしてる」
『確かにそうですけど…そうだったら優一さんは…』
「それは本当の時空の私に期待するしかないかな。それに、私達は京介くんが自由にサッカー出来ない事にずっと罪悪感を感じてた。だから、これでちょっとスッキリするのかもしれない。自己中っていうのは分かってるんだけど」
強い人だなと思った。これ程優一さんの事を愛してくれる人なんて、きっと瑪瑙さんしかいないと思う。優一さんが怪我をしていようと無かろうとずっと傍にいて支えている。