第11章 Incident!〈遠坂 雪音〉
「取り敢えず、戻ってみない事には、だな」
『はい』
そう決めた所で東京にもうすぐ着くとのアナウンスが鳴った。
『取り敢えず、一度荷物置いてきましょう。それから雷門に寄っても遅くは無いと思います』
「4時に校門前に集合で良いか」
『分かりました』
東京に着いた所で、まずはお日さま園に戻る事にする。
『只今帰りました』
「雪音ちゃん、お帰り」
『ヒロトさん。これから雷門に行ってきますね』
「え?」
『サッカー部の皆さんに会いに行ってきます』
「雷門にサッカー部は無いよ。雪音ちゃん」
『え…?』
まさか、そんな筈はない。ヒロトさんは冗談を言っているんだよね…?だって、私はホーリーロードで雷門の皆に助けて貰ったんだから。
『じょ、冗談、ですよね…?』
「冗談なんかじゃないさ。何なら行って見てくると良いよ」
どうなっているんだ…。もしかして…帝国も…?いや、そんな訳…。
『い、行ってきます』
取り敢えず急いで雷門へ向かう事にした。剣城君は異変に気付いているのだろうか…。
『剣城君!』
「遠坂」
『大変です!雷門には…サッカー部が無いと…』
「…は?」
『先程、お日さま園の人に聞いたんです。そしたら、雷門にサッカー部は無いって…』
「取り敢えず行くぞ!」
『はい!』
中に入ると、いつも使っている筈のグラウンドは野球部が使用している。いつもなら、此処はサッカー部が利用している筈なのに…。
『天馬君はまだ帰ってきていないですから…。狩屋君を探してみましょう!』
「分かった」
「あれ、雪音」
『狩屋君…!』
探そうと思っていた所に狩屋君が現れた。けど、肩には楽器をぶら下げている。
「雪音、バレエの特訓だっけ。終わったの?」
『え…?』
今迄のこれはバレエの特訓って事になってるの…?確かに瑠璃さんから少し教えてもらったことはあったけど…そんなレベルじゃない。
「まぁ良いや。気を付けて帰れよ」
『え、えぇ…』
「狩屋…」
『サッカー部…ですよね?』
「ああ」
『音楽系の部活には入ってない…ですよね…?』
「ああ」
『どうなっているんでしょうか…。夢でも見てるとかじゃないですよね…?』
「そしたら俺も夢を見てる事になる」
『ですよね』
他の人はどうだろう。まさか、他の人まで…。
「取り敢えず他の奴を探すぞ」
『はい!』
サッカー部…本当に無くなってる。