第11章 Incident!〈遠坂 雪音〉
当たれるだけ当たってみたけど…皆サッカー…?って感じで私の事も剣城君の事も知らないみたいだった。
『おかしくないですか…?皆して私達を脅かそうとしてるんですかね…?』
「だとしたらもうそろそろでネタバラシが来るのか…?」
『サッカー棟にも行ってみましょうか』
「ああ」
サッカー棟の中に入ると、今迄人工芝の屋内グラウンドだったのが、体育館と同じ作りになっていた。
『こ、これは…』
「どうなっているんだ…」
『1週間前はこうじゃなかったんですよね?』
「ああ」
『1週間で此処までの工事が出来るとは思えないですし…』
「確かに…」
これは…本当に現実…?まさか、こんな事起こる訳が…。
『今日は取り敢えず帰りましょう。明日またお伺いします』
「ああ」
一体どうなっているんだろう。何が起こったというの…?
「遠坂、送っていく」
『ありがとうございます。この件は、戻って来るなって事と関係が有るのでしょうか…』
「今の時点では情報が少なすぎるな」
『そうですよね…』
お日さま園に向かって歩き始めたその時だった。目の前に突然、知らない人物が現れた。
『え…?』
「剣城 京介並びに遠坂 雪音の存在を確認。これよりサッカーの消去を開始する」
『剣城君のお知り合いですか?』
「いや、知らない」
無表情のまま持っていたボールが青色に光り出す。何だろう…嫌な予感が…。
「遠坂!逃げろ!」
『剣城君は…⁉︎』
「俺は良い、早く!」
「雪音、こっちだ!」
『え…?』
「少なくとも此奴よりは信用できる!早く行け!」
『は、はい…!』
「また、会うぞ…!」
『⁉︎』
淡い緑色の髪の少年の手を握った時には、既に剣城君とあの人は居なくなっていた。
『剣城君…!』
「ごめん…間に合わなかった…」
『あ…』
「ちゃんと自己紹介したい所なんだけど、今度は天馬が危ないんだ」
『天馬君が?』
「ああ。座って!」
『はいっ…!』
そのままシートベルトを閉めて、高速移動が終わるのを待った。
「よし、安全な所まで来たね。僕の名前はフェイ」
『じゃあ、あのメールを送ったのは…!』
「僕だよ。でも、今は時間がない。天馬を助けに行くよ!」
『は、はい!』
「ワンダバ!例の物、宜しく!」
「任せておけ!」
く、熊…?縫いぐるみ…?が喋ってる…⁉︎
「此処だよ」
行き着いた場所は浜辺だった。