第11章 Incident!〈遠坂 雪音〉
「流石にお好み焼き位は作ったりするだろ」
『はい。材料を切ったりするのは良く手伝ってますから』
「料理出来るんだな」
『い、一応出来ますよ!卵焼き位なら最近作れる様になりました!』
「(意外に作れる…)」
休日なんかは瑠璃さんや八神さんに教えて貰いながら料理のスキルを着々と身に付けている。
『はふぅ…お腹一杯です…』
「そろそろ行くか」
『はい』
お金を払って駅に向かう事にする。すると、駅に向かう途中で少し好みの雑貨屋さんがあった。
『剣城君、後時間ってどれ位ありましたっけ』
「30分だな」
『ちょっとだけ寄り道して良いですか…』
「?」
『雑貨屋さんが…あるんですよ…!』
「行くか」
『あっ…はい…!』
剣城君が手を引いてくれる。それと同時にポニーテールもふわりと揺れた。
「遠坂」
『はい?』
「後ろ向け」
『?』
「良いから」
そのまま後ろを向いた。ゴムの辺りに何だか違和感を感じたが、何を付けたんだろう…。
「鏡見てみろ」
『は、はい!』
鏡を見に行ってみると、ポニーテールが結ばれた部分に真っ赤なリボンが付いていた。
『これは…』
「すみません、これ下さい」
「はい」
『あ、あの!剣城君⁉︎』
「要らなかったら捨てろ」
『いえ!すっごく嬉しいです!』
銀色の髪に真っ赤なそれが良く映えている。こんな素敵なプレゼント、捨てる訳ない。
『つ、剣城君、時間が…!』
「…っ行くぞ!」
『急がないと新幹線に間に合いません!』
急いで駅へ駆け戻り、コインロッカーからスーツケースを引っ張り出し、新幹線に飛び乗った。
『ぎ、ギリギリセーフでしたね…!』
「はぁ…」
『座りましょうか』
「そうだな」
椅子に座って一息ついた。最後の最後でちょっと危ういプログラムになってしまったが、それでも上出来だと言えるだろう。
『楽しかったですね。小学生の皆も元気で、活力を貰えましたし』
「色々と大変だったけどな」
『子供に懐かれてる剣城君も可愛かったですよ』
「嬉しくねぇよ…」
『特に女の子にキャーキャー言われてましたもんね』
「複雑だな」
『きっと剣城君の優しさが滲み出てたんですよ』
「…」
目付きは鋭いけど、ちょくちょく優しいというか…。言葉で言い表せないオーラがある。
『そ、そういえば、このポニーフックありがとうございます』
「気にするな」