第11章 Incident!〈遠坂 雪音〉
『剣城君、彼処はどうでしょうか!』
「たこ焼きか?」
『はい!食べてみたいです!』
「行ってみるか」
『行きましょう!』
たこ焼きって初めてではないけど、本場のものは初めてだ。お日さま園で偶にタコパなんて言って作ったりするけど、本場の味は出せない。
『楽しみですね!』
「ああ」
ポニーテールを揺らしてたこ焼き屋さんで注文をする。
「お、兄ちゃん達カップルかい?」
『い、いえ…そういう訳では…!』
「はは、照れんなって!サービスだ。これ持ってきな」
『わぁ…!ありがとうございます!』
一つサービスしてもらった。けど…周りからはそういう風に見られているのだろうか。
『剣城君!タコ焼きですよ!』
「分かったから、はしゃぐな」
『うっ…すみません…』
「行くか」
『はい!』
次は何処へ行こうか。お好み焼きも良いかも。
『剣城君は何処に行きたいですか?』
「お好み焼きが良いんじゃないか」
『じゃあ行きましょう!』
お好み焼きのお店に向かって歩き始める。そこで食べたら丁度良い時間になるだろう。
『大阪、良いですね!食べ物が美味しいですし!』
「これだけで結構腹一杯だな」
『そんなに時間もないですし、急いで食べないとですね』
「ああ」
ルンルンという効果音でも付きそうなステップで歩く。楽しくてしょうがない。だって友達とこうして遊ぶ事なんて殆ど無かったし、旅行に行ったことすら無かった。
「2名さまですか?」
「はい」
「こちらへどうぞー!」
良い匂いが漂ってきて、すぐにでも食べたくなる。
『良い匂いです〜!』
「飲食店だからな」
案内された席に座ってお好み焼きを注文する。上に羽織っていたものも脱いで脇に置いた。
「お前、そういうファッションもするんだな」
『瑠璃さんに選んでもらいました。黒のジャージ風のズボンに白のロゴTが絶対似合うって言われたので…』
「似合ってる」
『ありがとうございます。剣城君のファッションも好きですよ。それにズボンはお揃いですね』
「そうだな」
『一日目の様な女の子らしいファッションも好きですけど、こういった動きやすいものも好きです』
「ジャージだからな」
「お待たせしました〜」
暫く話していると、注文していた物がやってきた。其々に焼いて、半分ずつ交換する事にする。
『美味しいです!』
「ああ」
『本場の味ですね』