第10章 Cheerfulness!〈遠坂 雪音〉
明日からは、選手ではなくマネージャーとしてサッカーに関わっていく。
「ああ」
『もし何かあったら遠慮無く頼ってくださいね!頑張りますから!』
「ああ、頼んだ」
今回は小学生を対象としたプログラムだから、子供が沢山いる中で教える事になる。剣城君と子供が遊んでる所…あんまり想像出来ないけど、微笑ましい光景だったら嬉しいな。
『私507号室です』
「俺は506だ」
『じゃあお隣さんですかね?』
「恐らくな」
『何かあったら…もしかしたら押し掛けるかもしれません…』
「ああ、大丈夫だ」
『それじゃあ、おやすみなさい』
「ああ、おやすみ」
スーツケースを引き摺って自分の部屋に入った。1週間滞在するだけあって、凄い綺麗な部屋だ。
『ふぅ…』
一息ついてベッドに座った。スーツケースを開けてパジャマを取り出す。瑠璃さんと八神さんと一緒に下着を買ってもらった時にネグリジェという物を買ってもらった。夏用のノースリーブのものだ。それを持ってお風呂場へ向かい、全身を洗った。明日も早いので、予定を確認した後、すぐに眠りについた。
ーー翌日
『おはようございます、剣城君』
「おはよう」
予めしわを伸ばしておいた制服を身に纏って出かける事にする。マネージャーは制服、選手はジャージらしい。帝国の制服って目立つからあんまり着たくないんだけど…仕方ない。
「その制服だと目立つな」
『東京でも目立ちましたし…大阪でも目立たない筈がないですよね…』
真っ赤なスカートに黒の軍服の様なトップス。黒ニーハイにローファー、そして絹の白い手袋。軍帽はまあ良いだろうという事で持ってきていない。今日も暑いという事だったので高めのポニーテールに纏めた。
「取り敢えず、駅に行くか」
『はい』
電車に乗って午前中は4時間のプログラム。午後も4時間。何れも猛暑日との事なので屋内で扇風機を回しながらやる様だ。
『あ、電車来ましたよ!』
「満員だな…」
『ですね』
「行くか」
頑張って乗り込むけど、やっぱり人が多くて押されてしまう。すると、間に剣城君が割り込んで守ってくれた。
「大丈夫か?」
『は、はい…!』
ほぼ密着状態で顔は見えない。恐らく身長の違い故だと思うんだけど…。剣城君の心臓の音…聞こえる…。
『あ、あの…大丈夫ですか…?』
「あ、ああ…」
こういう時だけ身長小さくて良かったと思う。