第10章 Cheerfulness!〈遠坂 雪音〉
「今行ったら間違いなく熱中症だな」
『もう少し涼しそうな時に行きたいですね』
暑い所は苦手なので、行くなら涼しい避暑地に行きたい。ツインテールにしてるから、まだすっきりしていて良いけど、これでいつもみたいに下ろしていたら間違いなく倒れていただろう。
『そういえば、優一さんはお元気ですか?』
「ああ、大分回復しているそうだ」
『そうでしたか!瑪瑙さんもいらっしゃるので、心配なさそうですね』
「ああ。あの人は兄さんが小学生の時からずっとお見舞いに来てくれているんだ」
『そんなに前からでしたか…』
剣城君が7歳、優一さんが12歳の時に事故に遭ったと聞いたので、もう6年も病院に通っているという事だろう。
「兄さんは結構モテていた方だったから、最初はクラスの女子も来ていたが、次第に皆来なくなった」
『…』
「6年も兄さんの元に通っているのは瑪瑙さんだけだ」
『其れ程優一さんの事を大切に思っているのでは無いでしょうか』
「ああ」
瑪瑙さんは綺麗なお方だった。お名前を伺った時に天晶という苗字だったので、もしかしたらと思って瑠璃さんに聞いてみた。そしたら、まさかの妹さんだったので凄く驚いた記憶がある。
『瑪瑙さんには瑠璃さんというお姉さんが居るんですけど…瑠璃さんにはあまり似てないですね』
「そうなのか?」
『瑪瑙さんはどちらかと言うと落ち着いていて頼れる女性って感じがするじゃないですか』
「ああ」
『瑠璃さんは何と言うか…ミステリアスかつ、おばあちゃんかつ、子供心を忘れないと言いますか…』
「想像出来ないんだが…」
『会ってみればわかりますよ!今度是非お日さま園に遊びに来てください。狩屋君も喜んでくれると思いますよ』
「狩屋が?」
『ふふ、案外寂しがり屋さんなんですよ。狩屋だけに』
「…」
『今のはない…ですよね』
「聞かなかった事にしておこう」
これ、狩屋君の前で言ったら絶対どつかれる…。このネタは封印しておこう。
「結構回ったな」
『そうですね、もうそろそろホテルに向かった方が良いんじゃないでしょうか』
「そうするか」
パークを出て、ホテルに向かう事にした。随分遊んだし、一日目から疲れもどっさりだろう。
『今日は早めに寝て、明日に備えましょうか』
「ああ」
『明日の起床は…6時ですよね』
「確かそうだった筈だ」
『よし、頑張りましょうね』