第9章 Amusement!〈栗花落 菖蒲〉
「やっと座れる…」
『午後も頑張ろ』
「うん!」
こんな感じで残り5日を過ごし、6日目の朝は比較的ゆっくり目に起きた。アラームの音で目を覚ますと、時計は8時を指している。
『よし、時間ぴったり』
今日はいつもと違って私服に。半袖の白Tに、デニムショートパンツ。それから花柄ワンピースのカーディガンを上に着る。そろそろ朝食を食べに行かないと。太陽の部屋に行こうと思った時にドアからノック音が聞こえた。
『はい』
ドアスコープを見ると、オレンジの髪が見える。顔もまさに太陽である。安心してドアを開けた。
「おはよう!菖蒲!」
『太陽も、早いね』
太陽は半袖の白パーカーに黒のスキニーパンツ。うん、よく似合ってる。口に出しては言えないけど。
「菖蒲、可愛い!」
『ありがと』
若干照れつつも感謝の気持ちを表した。そのまま朝食会場に向かう。今日は比較的ゆっくり出来そうなので、ちょっと安心している。
「やっとゆっくりご飯が食べられるね」
『この1週間、ずっと急いで食べてたもんね』
「今日は観光だし、ゆっくり行こうよ」
『うん』
もう夏だけど、福島は東京よりかは暑くない。東京はそもそもヒートアイランド現象があるからかもしれないけど。それに今日行く大内宿辺りは夏でも涼しいみたい。
『ご馳走様』
「よし、それじゃあ行こっか」
まずはスーツケースを預ける。そして電車に乗り込み、いざ大内宿へ!
「楽しみだなぁ〜」
『あんまりはしゃぎすぎて転ばないでよ?』
「大丈夫だってば!」
『はいはい』
そのまま電車に揺られていると、ようやく最寄り駅に着いた。そこからタクシーで15分。漸く大内宿に到着。
「着いたー!」
『空気が美味しい』
「それじゃあ行きますか!」
『はいはい』
まずは浴衣を着付けて貰う。今回選んだのは大正浪漫風。髪はお団子に纏めて下駄もレンタルした。待っていてくれた太陽にお披露目しに行く事にする。
『お待たせ』
「あっ!あや…め…?」
『どうかした?』
「ううん!何でもない!すっごい綺麗!」
『あ、ありがと…』
素直に伝えられると、若干照れてしまうけど仕方がない。そのまま、大内宿をそぞろ歩く事に。
「凄いね。色んなお店がある」
『此処は民家でもあるんだって』
「そうなんだ!良いなぁ、俺もこんなお家に住んでみたい!」
『ゆるい生活ができそう』