第9章 Amusement!〈栗花落 菖蒲〉
「やった!」
仕方ないか…。でも値段を見る限り、学生だと安いし、浴衣の方が着物より安いから良いかも。二千円位でどうにかなるレベルなら、まあ良いか。
『じゃあメールしとくよ?今日はもう電話受け付けてないみたいだから』
「うん!」
『大内塾に行ったら多分、もう他の所には行けないよ?その日の内に帰らなきゃいけないんだから』
「僕一人で決めちゃったけど…菖蒲は行きたい所無いの?」
『私は良く分からないからなぁ。それに、こういう雰囲気の場所結構好きだし。太陽が一緒なら退屈しなさそう』
「そっか!」
『なんか案外早く決まっちゃったね』
「本当だね」
浴衣着るけど、あっちに行ったら甘いもの奢って貰おう。それでチャラだ。甘いものが有ればそれで良い。
「明日も来てよ。僕一人じゃつまらないし」
『言うと思った。良いよ。どうせ私も暇だし』
スマホを弄りながら答えた。すると太陽がぷくーっと膨れる。
「折角来たんだから遊ぼうよ!」
『何で?』
「じゃん!」
『出た。絶対修学旅行で一人は持ってくる奴いるわ』
「ババ抜き勝負だ!」
『分かった分かった』
「三回勝負で負けた方が相手の好きな所10個言うっていうのはどう?」
そんなルール許してたまるか!とも思ったけど、何だか面倒臭そうなので渋々承諾した。
「じゃあ配るよ」
シャッフルしながらカードを配っていく。ババ抜き何て此処暫くやって無いので不安だが、二回勝てば何とかなる。目標はさっさと二回勝つ事。じゃんけんで太陽が先行に決まった。
「よし…」
一回戦も結構白熱した試合だったが、結局は私が残った6のカードを引いて勝利。この調子で次も勝てば…終わる!
『まずは一勝…!』
「まだまだこれからだよ!」
その次はJOKERを見抜かれてしまって、太陽の勝利。これで1:1になった。次で勝負が決まる。
『こいっ…!』
「残念!」
『うわ…最悪』
そう言いながら手札をシャッフルしていく。悟られてはいけない…駄目だ…!これで負けたら…嫌な予感がする。
「こっちだ!」
『げっ…』
「よっし…!」
『あぁあああ…!最悪…!』
「あーやめっ!」
『分かった!分かったから!』
こんなの羞恥プレイとでも言えば良いのか…。普段人を褒める事なんて殆ど無いし…。
『んと…元気な所、いつも明るく挨拶してくれる所…』
「それからそれから?」