第8章 Departure!〈栗花落 菖蒲〉
話も落ち着いた所で、太陽にラインを入れた。
〈プログラムの件、大丈夫だって〉
〈そっか!〉
すぐに既読が付いて、返事が返ってくる。太陽も最近スマホになったらしい。両親にすっごい頼んだとか何とか。そして明日の朝、学校に行くついでに、ポストに承諾書の入った封筒を入れる。
「許可貰えたの?」
『うん、行ってくるよ』
「そっか、頑張ってね」
『姉さんこそ、ご飯作り頑張らないと…』
「はっ…!」
今更気付いたかの様に凄く驚いている。私がいないという事は即ち、姉さんが一人でご飯を作らなくてはならない。
「菖蒲ぇ…」
『頑張って練習しようね、姉さん』
「はぁ〜い」
ーー1ヶ月半後
「おはよう、菖蒲」
『おはよ』
「チケット持った?」
『ここで忘れたら終わるから』
「じゃ、行こっか」
『うん』
新幹線で行くと、東京からは福島まで1時間と少し。そんなに時間はかからない。まずは郡山駅という所で降りるらしい。
「新幹線の中って、暇だね」
『スマホがあるんだから、それで暇潰したら良いじゃん』
「折角退院してさぁ、菖蒲と一緒に居れるんだし、何かしたいよ!」
いかにも待ち望んでた発言だけど…公共の場所なんだから少し慎もうか。
『分かったから、そんなにはしゃがないで』
「はい…」
『そうだぁ…ウミガメスープとかは?』
「何それ?」
『はいかいいえだけで何か当てるゲーム。道具一切要らないし、結構楽だと思う』
「じゃあそれやろうよ!」
案外分からなかったりするから、結構導き出すまで大変なんだけど。
『じゃあいくよ。男が「チョコレートが7個しか入っていない」ととても困っていました。一体何故?』
「で、俺が質問して良いの?」
『うん』
「バレンタインデー?」
『はい』
「七個って粒?」
『いいえ』
「チョコレートだけしか入ってなかったの?」
『はい』
「下駄箱の中?」
『はい』
「分かった!チョコレートしか入ってなくて、上履きが入ってなかったんだ!」
『正解』
結構頭は回る方なのかも。まぁ、キャプテンやるならおかしく無いか。
『これだとさ。太陽すぐ分かっちゃいそうだから、英語禁止ゲームにする?』
「英語禁止?」
『そう。普段通りに話すんだけど、その中で英語は使っちゃダメなの』
「分かった」
『じゃいくよ?…スタート』
「菖蒲がついて来てくれて良かった」
『別に…』